【目的】腰椎分離症においてCTは治療方針決定に使用されることが多い。しかし、放射線被曝の観点からCTはなるべく避ける方が望ましい。Bone image MRIはT2 starによって、CTに近い画像を描出することができる。今回、腰椎分離症の診断にBone image MRIを使用し、CT画像との対比を検討した。
【方法】2022年6月~12月に当院を初診した腰椎分離症と診断を受けた患者のうちBone image MRIとCTを同時に検査可能であった28名、56か所を対象とした。Bone image MRIはCANON製Vantage 1.5Tを使用して、撮像条件はT2 starにて横断像、矢状像を施行した。CT所見を真の所見としてBone image MRI所見の感度、特異度、陽性的中率、陰性的中率を算出した。
【結果】Bone image MRI所見の感度は20/35=57.1%、特異度は19/21=86.1%、陽性的中率は20/22=91%、陰性的中率は19/34=55.9%であった。
【考察】腰椎分離症の診断においてMRIのSTIR像はスクリーニングとして用いられ、MRIのSTIR像が陽性患者に対してCTを行い、病期を把握して治療方針を決定する。我々は過去にMRIのSTIR像とCT画像を比較してその一致率が60%であること、腰椎分離症の治療方針の決定にはCTは必要であることを報告した。今回検討したBone image MRIは陽性的中率が高い検査であり、陽性の場合はCTを省略することができる可能性が示唆された。しかし、Bone image MRI はCT所見よりも分離部の亀裂が小さく見える傾向があり、病期を過少評価する可能性を含んでいる。一方でBone image MRIは感度と陰性的中率が低い検査であった。STIR像は腰椎分離症の初期においては感度の高い検査であるので、STIR像が陽性でBone image MRIが陰性の場合には病期を決定するためにCTを行うべきである。
【結語】成長期の腰椎分離症の診断においてBone image MRIは特異度と陽性的中率が高く、感度と陰性的中率の低い検査である。Bone image MRI所見が陽性であればCTを省略できる可能性がある。
I don't have COI relationships whitch should be disclosed.