腰椎分離症アップデート
第2会場(コンベンションホールB)
2023年07月16日 10:10 - 11:40
蒲田 久典 (茨城県厚生連総合病院水戸協同病院 整形外科)
辰村 正紀 (筑波大学附属病院水戸地域医療教育センター/茨城県厚生連総合病院水戸協同病院 整形外科)
奥脇 駿 (茨城県厚生連総合病院水戸協同病院 整形外科)
船山 徹 (茨城県厚生連総合病院水戸協同病院 整形外科)
万本 健生 (筑波大学附属病院水戸地域医療教育センター/茨城県厚生連総合病院水戸協同病院 整形外科)
平野 篤 (筑波大学附属病院水戸地域医療教育センター/茨城県厚生連総合病院水戸協同病院 整形外科)
山崎 正志 (茨城県厚生連総合病院水戸協同病院 整形外科)
【背景】腰椎分離症は若年アスリートに多く発症する疲労骨折である. 治療のゴールデンスタンダートは保存療法であり多くの患者で骨癒合が得られる. 保存療法における骨癒合率の目安としてCT水平断による病期分類が最もよく知られているが, 病変が片側か両側か, 対側に偽関節がないか, 年齢など骨癒合に影響を及ぼす因子が報告されている. そのため初診の時点でその患者の骨癒合率を予測するのは難しい.
【目的】多変量解析を用いて保存療法における骨癒合に影響を及ぼす因子を検討したので報告する.
【対象と方法】当院を受診した高校生以下の腰椎分離症患者で, 保存療法プロトコールを完遂した217例298病変を対象とした. 初診時に, 過去の報告から治療に影響を及ぼす可能性のある因子:年齢, 性別, 罹患高位, CT水平断による病期, 対側の病変の有無およびその病期, 罹患椎に限らず腰仙椎における潜在性二分脊椎の有無を調査し, 保存療法後の骨癒合の有無と各因子との関連を評価した.
【結果】全体の骨癒合率は77%, 治療期間は107日だった.
単変量解析: 罹患高位, 主側の病期, 対側の病変の有無および病期が骨癒合と関連していた.
多変量解析: 主側, 対側の病期が骨癒合と関連していた.
多変量解析の結果をもとに主側の病期を分離前期+初期, 進行期の2段階, 対側の病期を病変なし=片側病変, 分離前期+初期+進行期, 末期の3段階に分けるといずれも統計学的有意差をもって病期の進行が保存療法後の偽関節と関連していた.
【考察】腰椎分離症の保存療法の多変量解析において骨癒合に影響する因子は1.主側の病期, 2.対側の病期だった. 主側の進行期と対側末期が骨癒合に悪影響があり, 主側の分離前期, 初期, 対側病変なし=片側病変は骨癒合に良好な影響があった.
当日は文献的考察を加え, 各因子におけるサブグループ解析も含めて報告する.
利益相反の有無:なし