腰椎分離症(以下,分離症)の診療において,これまで先人たちが積み上げてきた経験・学問の成果や技術により,その病態の解明,診断力の向上,安定した治療成績が得られてきたように思われる.しかしながら,その病態把握や診断・治療において,いまだに“はたしてこれで良いのか?”と思うような課題も多く残っている.演者はこれらの課題(疑問点)をいくつか取りあげることにより,“分離症診療の未来” について触れていきたい.
病態:分離症は,なぜ第5腰椎に多く見られるのか?
腰椎のアライメントの影響や椎骨への血流の影響などが挙げられているが,果たしてどうなのか?
診断:医療被曝を減らすことはできるのか?
これまで分離症の診断には単純X線・CTは必須であったと言っても過言でない.しかしながら,分離症患者は発育期の患者が多く,当然のことながら医療被曝は低減すべきである.最近ではMRIでCTにそっくりな画像を撮像することも可能となり,既に活用されている施設も多い.果たしてこれで診断は十分なのか?
治療:より効率よく骨癒合を得られる方法はないのか?
以前から低出力パルス超音波や体外衝撃波が効果的であるとの報告も散見するが,果たしてどうなのか?また手術的治療の介入はどうなのか?
以上のようなことについて述べたい.
I don't have COI relationships whitch should be disclosed.