エビデンスに基づいた変形性膝関節症の保存療法~体系的なアプローチを考える~
July 16 th 08:30 - 10:00
写真提供なし
宮内 秀徳 (船橋整形外科クリニック 理学診療部)
平尾 利行 (船橋整形外科クリニック 理学診療部)
老沼 和弘 (船橋整形外科病院 人工関節センター)
東 秀隆 (船橋整形外科病院 人工関節センター)
三浦 陽子 (船橋整形外科病院 人工関節センター)
二宮 太志 (船橋整形外科病院 人工関節センター)
濱田 博成 (船橋整形外科病院 人工関節センター)
白土 英明 (船橋整形外科病院 人工関節センター)
変形性膝関節症は全成人の24%が罹患するとされ,65歳以上では男性で9.6%,女性で18%が症状を有するとされている.65歳以上では加齢とともに発症率も増加し,65歳以上の人口の80%に達するとの報告もある.現在当院では,変形性膝関節症患者に対し,人工関節全置換術や高位脛骨骨切り術などを年間約650件実施している.しかし,これらは変形性膝関節症と診断された患者の約1割であり,残りの約9割は理学療法や薬物療法などの保存療法を選択し治療を行っている.
日本理学療法士協会が発行している理学療法ガイドラインやAmerican Academy of Orthopaedic Surgeons(AAOS)のガイドラインにおいて,変形性膝関節症に対する運動療法や患者教育は効果的であることが報告されている.また近年,根拠に基づいた理学療法(Evidence-based Physical Therapy; EBPT)の実践が推奨されており,理学療法士による臨床判断を経験則だけに基づいて行うのではなく,基本的な理論,理学療法士の臨床能力や臨床経験,患者の意向や価値観とともに,質の高い臨床研究の検証結果であるエビデンスも含めて行うことにより,患者の臨床状況に即した安全で効果的な理学療法の実践が求められている.そのため,多忙な臨床現場においても常に信頼性の高い情報を取集し,患者に適応していくことが重要であると考える。
今回我々は,当院グループ関連クリニック3施設において,変形性膝関節症患者に対する理学療法の効果について検討を行った.その結果,理学療法実施開始から実施後3ヵ月において疼痛,膝関節機能ともに有意な改善がみられた.また,臨床的最小重要変化量を算出し,達成者の割合を調査したところ,疼痛,膝関節機能ともに約5割の患者が達成する結果となった.
本発表では各ガイドラインで提示されている情報を吟味するとともに,当院で行っている理学療法介入の方法や,工夫点などを紹介する.
I don't have COI relationships whitch should be disclosed.