エビデンスに基づいた変形性膝関節症の保存療法~体系的なアプローチを考える~
July 16 th 08:30 - 10:00
Chair)
孝久 佐粧
(千葉大学 整形外科)
Chair)
渡辺 淳也
(都賀整形外科リハビリクリニック)
変形性膝関節症(膝OA)の治療には保存療法や手術療法があるが、保存療法が第一選択とされる。保存療法のひとつである装具療法は、2023年日整会変形性膝関節症診療ガイドラインでは、装具療法の効果はBとされ、中程度の効果があると掲載されている。装具は、膝OAの進行に関わらず、関節の不安定性や異常運動を関節外から補填し,関節にさらなる障害を与えないようにすることで、疼痛発生の抑制効果、さらに、下肢アライメントの修正や膝の安定性向上・異常運動制御に作用し,疼痛等の症状緩和と進行予防の効果が期待できるとされており、実際臨床現場で広く処方されている。一方で、装具療法の問題点としては、装具装着の継続、モチベーションの維持が一番の課題で、さらに、装着感の不良や適合不良だけでなく,水疱や皮膚の炎症などの合併症が挙げられる.また長期使用によって疼痛軽減効果が減弱するといった報告もあり,装具の長期使用の際には慣れや順応,装具の緩みによる効果の減弱が考えられる。このような問題点を改善する方法として、運動療法や物理療法,薬物療法などの各種保存療法を併用することで、膝OAの進行抑制や症状の緩和がより有効となるとの報告もされている。装具療法には、膝装具、足底板、杖、靴など種類があり、より効果的に行うためには,各装具の特性を把握しておく必要がある.硬性装具(機能的装具),軟性装具,足底板について,我々が行ってきた臨床的研究を踏まえ,その有効性や課題について述べる。
I don't have COI relationships whitch should be disclosed.