戻る 第36回臨床整形外科学会

抄録

Session

シンポジウム5    
体外衝撃波の臨床応用とそのエビデンス
July 16 th 10:10 - 11:40

Title

Author

写真提供なし
西須 孝 (千葉こどもとおとなの整形外科)
高橋 謙二 (船橋整形外科病院スポーツ医学・関節センター)
三橋 繁 (習志野第一病院整形外科)
高橋 憲正 (船橋整形外科病院スポーツ医学・関節センター)
落合 信靖 (千葉大学大学院医学研究院整形外科学)
村田 亮 (新松戸むらた整形外科)
見目 智紀 (北里大学医学部整形外科学)
大鳥 精司 (千葉大学 整形外科)

Abstract

千葉大学整形外科衝撃波研究グループは、体外衝撃波治療の基礎的研究を1994年に始めた。その結果、骨形成誘導作用と除痛効果が明らかとなり、1997年から2002年まで様々な疾患に対する臨床試験を行い、その有効性と安全性が確認されたが、薬事法の認可は得られなかった。その後本邦では、専ら競走馬の治療に用いられてきた。精神的効果の期待できない競走馬に効くことが、この治療法の信頼性を示す何よりの証拠であったが、それを認めてもらうまでには長い年月を要した。2008年にようやく薬事法の認可が得られ、2012年には足底腱膜炎への健保適応にこぎつけることができた。
歴史的には、体外衝撃波療法は胆石や尿路結石の治療で臨床適用が始まり、その後、偽関節、腱付着部炎、異所性石灰化病変への治療が整形外科領域で行われるようになった。体外衝撃波の作用は、硬組織の破壊と軟部組織の刺激に分けられるが、前者は結石治療と同じ収束型高エネルギー衝撃波が用いられ、骨形成誘導と異所性石灰化の溶解誘導に臨床応用されている。後者は収束型低エネルギー衝撃波と拡散型低エネルギー衝撃波が用いられ、自由神経終末の変性誘導による除痛と周辺組織の再生誘導、神経筋接合部の変性誘導による筋弛緩作用で臨床応用されている。
我々の行った動物実験の結果から、今後臨床応用が考えられるのは、非観血的寛骨臼形成、過成長や成長軟骨板骨性架橋の誘導による脚長不等・骨変形の治療、変形性関節症の除痛、筋弛緩作用による痙性麻痺の治療、仮骨延長術における骨成熟の促進、局所への遺伝子導入など多岐に渡り、今後の発展が大いに期待できる治療法と思われる。一方、照射部位を誤ると脊髄損傷、臓器損傷のリスクもある。超音波療法、赤外線療法などの従来から行われている他の物理療法と比べ、切れ味のよい効果が期待できる反面、医師による安全管理が欠かせない治療法でもある。
I don't have COI relationships whitch should be disclosed.