交通事故を取り巻く諸問題―弁護士等の関与についてー
July 16 th 10:10 - 11:40
【目的】 交通事故診療は一般の診療と異なり、損害賠償の視点が加わります。加害者の損保会社や弁護士への適切な対応が求められます。損保会社側の弁護士に関わる問題について、事例をあげて検討し、トラヴルを防ぐためにどうすべきかを導きます。【対象と方法】 JCOA自賠労災委員会で過去にとりあげられた、損保会社弁護士からの要求で問題となった事例を検討し、その流れからどのような対応が望ましいか導き出しました。【結果】 損保側弁護士が関わる事例として、以下の3つがあります。1.被害者の診療録開示要求 2.損保顧問弁護士からの交通事故診療単価の値切り要求 3.損保顧問弁護士からの一方的支払打ち切り要求それぞれに対する適切な対応法を述べます。【考察と結論】 診療録開示については、公益上の必要性、患者のプライバシー、当事者の利害を考慮し慎重に判断すべきです。医療機関は二次的紛争に巻き込まれることは避けねばなりません。また被害者の同意なくしては決して開示に応じるべきではありません。交通事故診療単価の値切り要求に対しては、医師が行った診療行為を貶めるような要求には、断固たる態度で拒否すべきです。そのためには患者と医療機関との同意書に診療単価を明確に記載し契約し、さらにそのことを院内掲示することがお勧めです。また診療録には不明な医療行為を思わせるような記載を避けるべきです。一方的な支払打ち切りは、医師の裁量権に対する重大な侵害であるととともに、患者の被害救済に逆行するものですから、断固抗議すべきです。損保側弁護士からの問い合わせに十分な対応ができるように心がけるべきことを述べることといたします。
I don't have COI relationships whitch should be disclosed.