戻る 第36回臨床整形外科学会

抄録

Session

主題1    
成長期腰椎分離症
July 16 th 08:30 - 09:20

Title

Author

写真提供なし
奥山 晃平 (千葉大学 整形外科)
西川 悟 (西川整形外科)
岡本 弦 (西川整形外科)
青木 保親 (東千葉メディカルセンター 整形外科)
豊岡 毅 (西川整形外科)
松下 幸男 (西川整形外科)
杉浦 史郎 (西川整形外科, 千葉大学大学院医学研究院環境生命医学)
大鳥 精司 (千葉大学 整形外科)

Abstract

【目的】青少年に多い発育期腰椎分離症(以下分離症)の診断や治療方針の決定にコンピュータ断層撮影(CT)は不可欠な検査である. しかしCTは放射線被曝が避けられず, 青少年にとっては大きな問題である. 今回CTに代わる新しい磁気共鳴画像診断装置(MRI)技術Bone Imaging(以下BI)を利用してCTの代用と成り得ないかを検討することを目的とした.
【方法】2022年8月~2023年2月までにMRI検査にて分離症と診断された28名(平均年齢14.5±2.0歳)の患者で, BIとCTを同日に行ったすべての分離病変部54部位を対象とした. 関節突起間部の骨折線評価をBIとCTの矢状断像で2013年大場らの報告による分類にてgrade評価を行い, 所見なし0, 透亮像Ia, 1/2未満の亀裂像Ib, 1/2以上の亀裂像Ic, 完全分離II, 偽関節IIIの6つに分類した.3人の検者で評価を行い, 検者内でのBIとCTの結果一致率, および検者間の一致率を重み付けkappa係数を用いて算出した.
【結果】BIとCT間でのKappa係数は検者A 0.70, 検者B 0.72, 検者C 0.77であった. いずれも0.61~0.80の間にあり実質的に一致していると見なされた. また3人の検者間でのBIの一致率は0.58, CTの一致率は0.61であった.
【考察】分離症は思春期によく見られる疲労骨折である. 早期分離症は単純X線写真では発見できないことが多く, 早期診断にはMRIが有用である. 一方で, 骨折線の評価や病期判定にはCTが最も有用であるが, 繰り返し検査による放射線被曝は問題とされている. 近年, 骨構造を評価する新しいMRI技術としてBIが知られている. 本研究では, BIにより分離症患者の骨折線を評価することが可能であり, 現時点ではややCTに及ばない点もあるが治療方針を決定するには必要十分であると示唆された.
【結論】発育期腰椎分離症患者において, 新しいMRI技術であるBIは, CTの代用と成り得ることが示唆された. それは医療被曝の低減, さらには医療費削減にも貢献できることを示唆している.
I don't have COI relationships whitch should be disclosed.