戻る 第36回臨床整形外科学会

抄録

Session

主題1    
成長期腰椎分離症
July 16 th 08:30 - 09:20

Title

Author

写真提供なし
青木 保親 (東千葉メディカルセンター 整形外科)
佐藤 祐介 (東千葉メディカルセンター 整形外科)
佐藤 雅 (東千葉メディカルセンター 整形外科)
脇田 浩正 (東千葉メディカルセンター 整形外科)
堀井 真人 (東千葉メディカルセンター 整形外科)
葉 佐俊 (東千葉メディカルセンター 整形外科)
秋山 友紀 (東千葉メディカルセンター 整形外科)
佐藤 貴允 (東千葉メディカルセンター 整形外科)
森川 友貴 (東千葉メディカルセンター 整形外科)
渡辺 淳也 (都賀整形外科リハビリクリニック)
中嶋 隆行 (おゆみ野中央病院 整形外科)
久保田 剛 (東千葉メディカルセンター 整形外科)
井上 雅寛 (東千葉メディカルセンター 整形外科)
杉浦 史郎 (西川整形外科)
西川 悟 (西川整形外科)
大鳥 精司 (千葉大学 整形外科)

Abstract

【目的】腰椎分離症治療は長期スポーツ中止が必要なため、骨癒合を目指すかの選択に迷うことがある。適切な選択のために患者に骨癒合が得られなかった場合のデメリットを伝えるべきである。本研究の目的は偽関節化した分離症の長期予後を推測することである。
【対象と方法】研究1: 腰痛以外を主訴に腰腹部CTを撮影した581例のCT再構成画像から分離保有率を調べ、分離を有する分離群と有さない非分離群の年代毎の腰椎すべり保有率、腰椎前彎角(L1~S1)を比較した。研究2:腰椎変性疾患に対し手術を行った354例の分離保有率を調べ、分離群(両側分離に限定)と非分離群に分け術式を比較した。
【結果】研究1:分離保有率は6.4%(37/581)、すべり保有率は分離群0.0/60.0/86.7%(~49歳/50~69歳/70歳~)、非分離群0.0/2.7/12.9%、腰椎前彎角は分離群39.4/40.7/50.3度、非分離群37.0/38.9/38.2度であった。研究2:分離保有率は6.5%(23/354)、手術椎間数は分離群1.33±0.56、非分離群1.70±0.87椎間で、分離群は有意に複数椎間手術が少なかった。
【考察】偽関節化した分離症の長期予後を知るには70年超の縦断研究が必要だが、現状では横断研究により推測するのが現実的である。研究1の結果、分離の存在により加齢過程で分離椎間に高率にすべりを起こすが、むしろ前彎が増大することが示唆された。研究2の解釈として、分離が手術を要するほどの重篤な病態を引き起こす可能性が高ければ、腰椎手術症例の分離保有率が高いはずである。研究2の結果より分離が手術を要するほどの重篤な疾患を引き起こすリスクは増加せず、手術を要する場合には多椎間に手術を要する可能性は低いことが示唆された。
【結論】腰椎分離が偽関節化した場合、加齢とともに高率に分離すべりを起こすが手術を要するほどの重篤な病態を引き起こす可能性は増加せず、むしろ腰椎前彎は維持され多椎間にわたる病態に至る可能性は低いことが示唆された。
I don't have COI relationships whitch should be disclosed.