写真提供なし
渡辺 知真 (静岡みらいスポーツ・整形外科)
石川 徹也 (静岡みらいスポーツ・整形外科)
杉山 貴哉 (静岡みらいスポーツ・整形外科)
三宅 秀俊 (静岡みらいスポーツ・整形外科)
氷見 量 (静岡みらいスポーツ・整形外科)
【目的】腰椎分離症の腰椎分離角度(SFA)は腰椎伸展では水平断に近く、回旋では矢状断に近くなると報告されている。腰椎の形態学的特徴から、椎体高位別でSFAが異なると考えられるが、先行研究では椎体高位別に検討していない。本研究の目的は椎体高位別のSFAの違いとスポーツ種目との関連性を検討し、明らかにすることである。
【対象と方法】対象は、2015年3月から2022年12月までに当院を受診し、MRIにて新鮮腰椎分離症と診断された症例のうち、CTにて骨折線が明瞭で、対側に陳旧例がなく、第4腰椎(L4)と第5腰椎(L5)の単椎体に発症した野球、バレーボール、陸上トラック種目の104例とした。野球・バレーボールを回旋群、陸上トラック種目を伸展群とした。SFAはCT水平断にて椎体の横径と骨折線のなす角度を計測した。各群のL4とL5のSFAを比較した。また各群のL4、L5における発生率を比較した。
【結果】L5では回旋群は伸展群と比較して有意にSFAが大きかった(p<0.05)が、L4では両群間のSFAに有意差を認めなかった。回旋群ではL5がL4より有意にSFAが大きかった(p<0.05)が、伸展群ではL5とL4のSFAに有意差を認めなかった。伸展群は回旋群と比較してL4の発生率が有意に高かった(p<0.05)。
【考察】回旋群においてL5がL4よりSFAが大きくなった理由は、腰椎の回旋可動域はL4/L5よりL5/S1が大きいため、L5の方が回旋ストレスが大きくなったためと考えられる。腰椎の屈伸可動域はL4/L5とL5/S1では差がほとんどなく、回旋可動域はL4/L5よりL5/S1で大きいため、腰椎分離は伸展群ではL4とL5に同等に発生し、回旋群ではL5に発生しやすいと考えられる。
【結論】SFAは、回旋群ではL4よりL5の方が大きかったが、伸展群では椎体高位による違いはなかった。伸展群は回旋群と比較してL4の発生率が有意に高く、腰椎可動域の違いが影響したと考えられた。
I don't have COI relationships whitch should be disclosed.