戻る 第36回臨床整形外科学会

抄録

Session

主題2    
スポーツ傷害の診断と治療
July 16 th 09:30 - 10:30

Title

Author

写真提供なし
杉山 貴哉 (静岡みらいスポーツ・整形外科)
石川 徹也 (静岡みらいスポーツ・整形外科)
三宅 秀俊 (静岡みらいスポーツ・整形外科)
氷見 量 (静岡みらいスポーツ・整形外科)
渡辺 知真 (静岡みらいスポーツ・整形外科)

Abstract

【目的】成長期スポーツ選手の骨盤裂離骨折の特徴を明らかにすること。
【対象と方法】2015年3月から2022年12月に骨盤裂離骨折と診断されたスポーツ選手45例(男性43例、女性2例)を対象とし、下前腸骨棘群(AIIS群)、上前腸骨棘群(ASIS群)、坐骨結節群(IT群)に分類した。診断は単純X線にて裂離骨片が明らかなものとした。各群の性別、年齢、身長、体重、スポーツ種目、受傷動作、外傷の有無、受診までの期間、骨片転位距離(DFD)、骨癒合の成否、競技復帰期間(RTP)について診療録を後ろ向きに調査し、比較検討した。統計はBonferroni補正で多重比較を行い、有意水準は0.05とした。
【結果】AIIS群23例、ASIS群15例、IT群7例であった。3群とも男性が多く、3群間に性別の有意差はなかった。年齢・身長・体重に関してAIIS群はASIS群に比べて有意に低年齢(p<0.01)、低身長(p<0.05)、低体重(p<0.01)であった。スポーツ種目ではAIIS群はサッカーが最も多く、受傷動作ではAIIS群はキック動作、ASIS群は走行が多かった。外傷の有無に関して外傷ありがほとんどで、3群間に有意差はなかった。受診までの期間はIT群がAIIS群、ASIS群と比べて有意に長かった(p<0.05)。DFD、骨癒合の成否、RTPでは3群間に有意差はなかったが、IT群にて偽関節が2例認められた。
【考察】先行研究同様に、骨端線閉鎖時期の違いによりAIIS群はASIS群よりも低年齢で発症し、AIIS群はキック動作、ASIS群は走行が主な受傷動作であった。IT裂離骨折はAIIS・ASIS裂離骨折に比べ骨癒合阻害されやすく、自験例でもIT群にて全例DFD 7.7mm以下にもかかわらず偽関節が2例認められ、IT裂離骨折はDFDだけでは治療方針の決定は難しいと考えられる。
【結論】骨盤裂離骨折の発生部位において、性別、年齢、スポーツ種目、受傷動作にそれぞれ特徴がみられた。保存療法か手術療法かの判断にはDFDが重要であるが、IT裂離骨折の治療方針はDFDだけでは決定できない可能性がある。
I don't have COI relationships whitch should be disclosed.