戻る 第36回臨床整形外科学会

【目的】本研究の目的は、青少年におけるスポーツ活動と主観的健康感、抑うつとの関連を、全国規模の調査で明らかにすることである。【方法】笹川スポーツ財団より研究目的で提供されたデータを用いた。対象は2021年に全国より層化2段階無作為法で抽出した12-21歳の1663名（平均年齢17歳）である。質問票による横断調査を行った。主観的健康感は4段階で評価し、とても健康/健康（健康群）とあまり健康ではない/健康ではない（不健康群）で二分した。抑うつはPatient Health Questionnaire-8で評価し、10点未満（抑うつ無し群）と10点以上（有り群）で二分した。スポーツの頻度は非実施、低、中、高頻度（週7回以上）群で4分した。関連する因子は年齢、性、朝食の頻度、睡眠時間、スクリーンタイム（スマホ、PC等の利用時間）などを調査した。主観的健康感と抑うつの各々を目的変数、スポーツ活動を説明変数として、単変量および多変量ロジスティック回帰分析を行った。【結果】不健康群は355名（21%）、抑うつ有り群は174名（11%）だった。スポーツの頻度は非実施群が327名（20%）、高頻度群が426名（26%）だった。単変量の解析では、スポーツの頻度が少ないほど不健康群の割合が高かった（非実施群, 32%; 高頻度群, 15%; P＜0.001）。多変量解析でも両者は有意な関連があり、朝食、スクリーンタイムも関連していた。またスポーツの頻度が少ないほど抑うつ有り群の割合が高かった（非実施群, 19%; 高頻度群, 11%; P＜0.001）。多変量解析では、スポーツの頻度の他に性、朝食、スクリーンタイムが関連していた。【結論】青少年において、スポーツの頻度が少ないと主観的健康感が低く、抑うつ傾向が高かった。心身の健康維持のためにスポーツを行うべきである。