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山田 有徳 (船橋整形外科病院 スポーツ医学・関節センター)
高橋 憲正 (船橋整形外科病院 スポーツ医学・関節センター)
松木 圭介 (船橋整形外科病院 スポーツ医学・関節センター)
佐々木 裕 (船橋整形外科病院 スポーツ医学・関節センター)
上田 祐輔 (船橋整形外科病院 スポーツ医学・関節センター)
星加 昭太 (船橋整形外科病院 スポーツ医学・関節センター)
喜友名 翼 (船橋整形外科病院 スポーツ医学・関節センター)
濱田 博成 (船橋整形外科病院 スポーツ医学・関節センター)
松葉 友幸 (船橋整形外科病院 スポーツ医学・関節センター)
上條 秀樹 (船橋整形外科病院 スポーツ医学・関節センター)
玉置 大恵 (船橋整形外科病院 スポーツ医学・関節センター)
出口 友彦 (船橋整形外科病院 スポーツ医学・関節センター)
原口 亮 (船橋整形外科病院 スポーツ医学・関節センター)
落合 信靖 (千葉大学大学院医学研究院 整形外科学)
骨髄浮腫は,MRIで診断される疲労骨折の前段階の変化であり,stress reactionとも称される.体外衝撃波治療(以下,ESWT)は,近年,運動器疾患の物理療法の1つとして,特にスポーツ傷害治療の分野で広く用いられており,その効果が注目されている.国際衝撃波治療学会によるESWTの適応症として,実証済適応疾患に疲労骨折が,経験的に有用な適応疾患に骨髄浮腫が挙げられている.今回,我々は比較的稀な上腕骨遠位骨髄浮腫に対してESWTが有効であった2例を経験したので報告する.
症例1.16歳女性,テニス部所属,右打ち.特に誘因なくテニス時の右上腕痛が出現,近医で加療も増悪寛解を繰り返し,発症から7ヶ月後に当院受診.MRIで上腕骨遠位骨髄浮腫を認め,収束型体外衝撃波(以下,FSW)を2回施行した.治療後1週で圧痛消失し,治療後3週でテニス復帰した.
症例2.21歳男性,大学体育会野球部所属,外野手,右投左打.特に誘因なくバットスイング時の左肘痛が出現.近医で加療も症状持続し,発症から5ヶ月後に当院受診.MRIで上腕骨遠位骨髄浮腫を認め,FSWを4回施行した.プレーを継続しながら治療を行い,疼痛は消失した.
上腕骨遠位骨髄浮腫は特にスポーツ選手において報告されているが,その頻度は少なく,症状が出現してから診断までに時間を要する傾向があった.その発症機序として,多くは過剰な負荷に起因すると報告されている.テニスや野球のスイング動作では上腕骨に対して回旋ストレスが生じるため,今回の症例では回旋ストレスの繰り返しによる微小な損傷の蓄積が発症の誘因になったと考えられた.上腕骨遠位骨髄浮腫に対するESWTは早期除痛および早期競技復帰に有効な可能性があった.
I don't have COI relationships whitch should be disclosed.