写真提供なし
大山 隆人 (西川整形外科)
杉浦 史郎 (西川整形外科, 千葉大学大学院 医学研究院 環境生命医学)
豊岡 毅 (西川整形外科)
中村 恵太 (西川整形外科)
志賀 哲夫 (西川整形外科)
酒井田 亨 (西川整形外科)
大森 康高 (西川整形外科)
高田 彰人 (西川整形外科)
大槻 哲也 (西川整形外科)
武田 大輝 (西川整形外科)
篠崎 公則 (西川整形外科)
岡本 弦 (西川整形外科)
西川 悟 (西川整形外科)
【目的】ランナーの下肢痙攣に関しては、電解質不足や筋疲労、緊張など、様々な報告が散見されるが、統一した見解が得られていない。そこで今回、完走直後のランナーにアンケートを実施し、下肢痙攣に関係する因子を調査した。
【対象と方法】某マラソン大会においてアンケートを配布し、その内フルマラソンランナーの回答を使用し調査を行った。アンケートでは、下肢痙攣の有無、練習面(練習量・練習への満足度)、生活面(飲酒・睡眠時間・睡眠満足度)、飲食面(朝食・水分摂取・マラソン時の補給)、精神面(緊張度・意欲・目標)について聴取した。統計学的解析は、下肢痙攣の有無に対し、調査項目ごとに名義変数に対してはFisherの正確検定、平均値の比較に対してはt検定及びU検定を行った。また、下肢痙攣と関わりを認められた項目において、ロジスティック回帰分析を実施し、下肢痙攣に関してオッズ比を算出した。p<0.05を有意と判定した。
【結果】アンケート回収は414件(回収率10%)で、その内フルマラソンランナー398名にて解析を行った。Fisherの正確検定より、走る前の目標が『ベストタイムを更新する』を選択した場合に、下肢痙攣が多いこと(p<0.01)が認められた。ベストタイム更新を目標とした180名に対しロジスティック回帰分析を行ったところ、精神面として不安感を抱いていると下肢痙攣のオッズ比は1.88倍(p<0.05)だった。
【考察】Sulzerらは筋痙攣が起こる前兆として、筋の放電量が高まっていることを指摘しており、山下らは持続的な不安は交感神経活動を亢進させると報告している。このことから不安による交感神経活動が過緊張となり、下肢痙攣を起こす可能性が示唆された。
【結論】ベストタイム更新を目指してマラソン大会に出場するも、出走に不安感を抱いているランナーは下肢痙攣が起こりやすい可能性が示唆された。
I don't have COI relationships whitch should be disclosed.