戻る 第36回臨床整形外科学会

抄録

Session

主題3    
肩関節疾患に対する運動器リハビリテーションの効果の検証
July 16 th 10:40 - 11:30

Title

Author

写真提供なし
上原 鉄平 (船橋整形外科クリニック 理学診療部)
関口 貴博 (船橋整形外科クリニック 理学診療部)
宮内 秀徳 (船橋整形外科クリニック 理学診療部)
平尾 利行 (船橋整形外科クリニック 理学診療部)
高橋 憲正 (船橋整形外科病院 スポーツ医学・関節センター 肩関節・肘関節部門)
松木 圭介 (船橋整形外科病院 スポーツ医学・関節センター 肩関節・肘関節部門)
上田 祐輔 (船橋整形外科病院 スポーツ医学・関節センター 肩関節・肘関節部門)
星加 昭太 (船橋整形外科病院 スポーツ医学・関節センター 肩関節・肘関節部門)
上條 秀樹 (船橋整形外科病院 スポーツ医学・関節センター 肩関節・肘関節部門)
松葉 友幸 (船橋整形外科病院 スポーツ医学・関節センター 肩関節・肘関節部門)
玉置 大恵 (船橋整形外科病院 スポーツ医学・関節センター 肩関節・肘関節部門)
佐々木 裕 (船橋整形外科病院 スポーツ医学・関節センター 肩関節・肘関節部門)
喜友名 翼 (船橋整形外科病院 スポーツ医学・関節センター 肩関節・肘関節部門)
原口 亮 (船橋整形外科病院 スポーツ医学・関節センター 肩関節・肘関節部門)
白土 英明 (船橋整形外科病院 人工関節センター)

Abstract

【目的】我々は肩関節周囲炎患者に対する運動療法を実施し、疼痛のVisual Analogue Scale(VAS)が経時的に改善することを明らかにした。しかしVASがどの程度改善することが目標となるのか、効果判定の指標が不明確である。そこで今回、その指標を明らかにするために臨床的最小重要変化量(Minimal Clinically Important Difference:MCID)を用いて調査を実施した。本研究の目的は肩関節周囲炎患者のVASを調査し、運動療法実施後3ヵ月の指標を明らかにすることである。
【方法】対象は2022年6月から2023年2月までに当グループ外来3施設において肩関節周囲炎と診断された40歳以上の肩関節可動域制限を有する188例とした。運動療法は療法士による腱板強化、肩甲胸郭運動、さらに患部外機能改善を含むホームエクササイズを3ヵ月間実施した。調査項目は基本情報として性別、年齢、安静時痛、就寝時痛、動作時痛のVASとした。運動療法実施前後の有意差を確認したのち、MCIDを運動療法前後の差の標準偏差(SD)にそれぞれ0.5を乗じて算出した。また、効果量を運動療法前後の差をSDで除し算出した。
【結果】肩関節周囲炎患者は男性68例、女性120例、平均年齢59歳であった。各疼痛VASは運動療法前後で有意に改善した。運動療法後3ヵ月のVASのMCID(達成者の割合,効果量)は安静時痛14.1mm(34%,0.3)、就寝時痛15.2mm(43%,0.5)、動作時痛14.1mm(62%,0.8)であった。
【考察】肩関節周囲炎に対して3ヵ月間の運動療法を実施した結果、各疼痛は有意な改善を示し、MCIDを示すことができた。しかし、安静時痛と就寝時痛については達成率、効果量が低く、指標としては課題が残るものとなった。安静時痛と就寝時痛は定義が不明瞭であることが考えられ、今後の検討が必要であると考える。
【結論】肩関節周囲炎患者における運動療法実施後3ヵ月の動作時痛VASのMCIDは14.1mmであることが明らかとなった。
I don't have COI relationships whitch should be disclosed.