戻る 第36回臨床整形外科学会

抄録

Session

主題3    
肩関節疾患に対する運動器リハビリテーションの効果の検証
July 16 th 10:40 - 11:30

Title

Author

写真提供なし
水飼 優宏 (松戸整形外科病院 リハビリテーションセンター)
川井 誉清 (松戸整形外科病院 リハビリテーションセンター)
石井 壮郎 (松戸整形外科病院 肩関節センター)
荻野 修平 (松戸整形外科病院 リハビリテーションセンター)
石毛 徳之 (松戸整形外科病院 肩関節センター)

Abstract

【目的】患側下側臥位は夜間痛出現率が最も高いと報告される。臨床上、炎症期が過ぎ、疼痛が軽減しても、患側下側臥位では痛みを伴う症例が存在し、可動域改善に伴い症状が軽快することを経験する。研究の目的は、患側下側臥位時に痛みが生じる症例に関連する機能的因子を検討することとした。
【対象と方法】対象は肩関節疾患患者77名77肩(平均年齢62.6±12.0歳)、除外基準は術後、骨折、神経症状を有する者とした。評価項目は患側下側臥位時の疼痛の有無と7つの機能的項目とした。機能的項目は肩関節自動可動域(屈曲、外転、水平内転)、内転制限の有無を評価した。さらに今回独自に作成した動作指標を「水平内転時に肘頭が鼻(身体の正中)を超える」、「後頭部を触れたまま肘頭が正面を向く」、「腹部に手を置いた状態で肘頭が横を向く」の可否を評価した。統計解析は患側下側臥位時の疼痛の有無を従属変数、各機能的項目を独立変数として、多重ロジスティック回帰分析を行った。有意水準は5%とした。
【結果】多重ロジスティック回帰分析の結果、「水平内転時に肘頭が鼻を超える」が抽出された。オッズ比は、2.86(95%信頼区間1.13~7.51)、感度0.55%、特異度0.70%であった。
【考察】患側下側臥位時の肩関節の肢位は、水平内転位であることが多く、報告では水平内転位は最終域で肩峰下内圧が上昇するとされてる。関節包・靭帯の拘縮による関節運動の異常は、圧の増加、疼痛を惹起し、さらに、患側の肩関節に自重が加わることで、内圧はより上昇、軟部組織は伸張されることから、可動域制限が疼痛の要因となると考える。抽出された評価指標は、水平内転動作であり、肩関節後方組織の柔軟性を反映し、肘頭が鼻の位置を超えるか否かは、患側下側臥位の症状改善のための一つの指標となると考える。
【結論】患側下側臥位時の疼痛と関連する機能的因子として「水平内転時に肘頭が鼻を超える」であることが示唆された。
I don't have COI relationships whitch should be disclosed.