戻る 第36回臨床整形外科学会

抄録

Session

主題4    
関節リウマチと関連疾患
July 16 th 08:30 - 09:00

Chair

Chair) 太郎 吉岡
(板倉病院 リウマチ科)
Chair) 梨井 泰鉉
(そがリウマチ・整形外科)

Title

Author

田尻 健 (田尻整形外科)

Abstract

【目的】私はこれまで本学会(第30回、第34回、第35回JCOA学会)で偽痛風に関する演題を発表してきた。今回はもう一つの結晶沈着性関節炎である痛風性関節炎について検討した。痛風性関節炎は足部ないしは足関節に起こることが多く、膝関節に起こることは比較的少ないと言われている。当院で経験した痛風性膝関節炎についてその臨床的特徴を調べた。
【対象と方法】2015年1月から2022年12月までの8年間に膝関節液中に尿酸結晶が検出されたのは16人24例であった。そのうち15例について関節液中の白血球数と白血球像について調べた。また、痛風発作を起こした時の血液中尿酸値、CRP値、白血球数、eGFRについても調べ、過去の痛風治療歴の有無、今回の発作の持続期間について検討した。
【結果】年齢は60.2±17.1歳で全例男性であった。16人のうち4回発作を起こしたものが1人、3回が1人、2回が3人見られた。12人に治療歴があり残りの4人は治療歴不明であった。今回の痛風発作の持続期間は平均で8.8日であった。関節液中の白血球数は平均で9487/μLで最多が45600/μL最小が100/μLとばらつきが大きく中央値で3100/μLであり、好中球の占める割合は65.4±33.8%であった。血液中の尿酸値は7.5±1.6でCRPは6.46±6.84であり白血球数は9000±2085でeGFRは66.8±16.2であった。
【考察並びに結論】痛風性膝関節炎は過去に痛風治療歴があり、痛風の治療薬を途中でやめてしまった人に多く見られた。発作の持続は8.8日と短いが治療を継続せず発作を繰り返す人があった。関節液所見では白血球数は多いものから少ないものまでバラつきがあり、一様に関節液中の白血球数が増加する偽痛風とは異なる点と考える。白血球数が少なく炎症所見が軽度であるにも関わらず、痛風発作が起こることは、興味深い知見と考える。
I don't have COI relationships whitch should be disclosed.