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田中 功一 (田中整形外科)
大村 文敏 (田中整形外科, 高円寺整形外科)
森山 正敏 (田中整形外科, 森山整形外科)
奥村 栄次郎 (田中整形外科, 奥村整形外科)
子田 純夫 (田中整形外科, 東京都臨床整形外科医会)
田中 眞希 (田中整形外科, 田中まき整形外科)
中川 種史 (田中整形外科, 中川整形外科)
田尻 健 (田中整形外科, 田尻整形外科)
中川 照彦 (田中整形外科, 同愛記念病院)
【目的】背屈転位型橈骨遠位端骨折の治療に関する意識調査を行い、診療所医師と病院勤務医で治療方針に差があるかを検討し、今後の病診連携を構築するための一助とすることである。
【対象と方法】東京都臨床整形外科医会と関東地区整形外科勤務医会の会員にアンケートを送付した。質問事項は次の通りである。(1)回答者の年齢(2)主な勤務先(3)65歳以上の認知症がなく、ADLが良好な患者に対し各パラメーターの転位度(ulnar variance、dorsal tilt、gap、step off)を徒手整復後にどの程度まで許容し保存療法を行っているか。(4)治療方針決定に当たってどのような因子(年齢、性別、利き手、既往歴、骨粗鬆症の有無、職業、趣味、骨折分類、CT、健側のレントゲン)を参考にしているか。(5)72才の女性(AO分類 C2)に対する治療方針。これらの質問の回答に対し統計学的検討を行った。
【結果】152名の回答の中で有効な回答148例に対し検討を行った。回答者の平均年齢は59.1歳。主な勤務先は診療所91名(以下、診療所群)、病院57名(以下、病院群)であった。質問(3)に対し診療所群と病院群に分け検討したところ、全てのパラメーターにおいて病院群で少なく、ulnar varianceでは有意差がついた(P<0.01)。質問(4)では、診療所群は病院群に比べ治療方針決定に際して骨粗鬆症の有無を参考にしていることがわかった(P<0.01)。一方CTを参考にしている医師は病院群に多かった(P<0.01)。質問(5)では病院群で手術療法を選択することが多かった(P<0.01)。
【考察】病院勤務医はCTによる精査を加えたうえで手術適応有無を判断し、治療する傾向があることが示唆された。また診療所医師は地域のかかりつけ医として骨粗鬆症にも関心を寄せたうえで治療しているようであった。
【結論】背屈転位型橈骨遠位端骨折の治療に関して、診療所医師と病院勤務医では治療方針に差があり、さらなる病診連携が必要であると思われた。
I don't have COI relationships whitch should be disclosed.