戻る 第36回臨床整形外科学会

抄録

Session

一般演題1    
骨粗鬆症
July 16 th 10:00 - 10:40

Chair

Chair) 隆 伊藤
(田部整形外科)

Title

Author

高橋 郁子 (石井クリニック)
石井 義則 (石井クリニック)
渡辺 慶 (新潟大学 整形外科)
野口 英雄 (石井クリニック)
佐藤 潤香 (石井クリニック)

Abstract

【目的】2022年の本学会において、演者らは腰椎・大腿骨骨密度と筋量・歩行速度に相関があることを報告した。本研究では、年代ごとで骨密度と関連する因子に相違があるかを検討することを目的とした。【対象と方法】対象は補助具なしで歩行可能な60歳以上の女性患者272人(72.6±7.4歳、152.2±6.3cm、55.1±10.3kg)であり、骨粗鬆症治療例は除外した。調査項目は、腰椎・大腿骨骨密度(BMD)、握力、体幹屈曲・伸展筋力、開眼片脚立位時間、ファンクショナルリーチテスト(FRT)、Timed up and goテスト (TUG)、5m歩行速度(通常、最速)、生体電気インピーダンス法による骨格筋量指数(SMI)、体幹筋量とした。体幹筋力はISOFORCE GT-350(OG技研)を用い最大等尺性筋力を測定した。60~69歳(n=99)、70~79歳(n=113)、80歳以上(n=60)の3群に分け、それぞれの年代で腰椎・大腿骨BMDと各測定項目の相関関係を検討した。統計解析にはSpearmanの順位相関分析を用い、相関係数の絶対値が0.2以上かつp値0.05未満を相関ありと判断した。【結果】腰椎/大腿骨BMDの平均値は60~69歳:0.997/0.816g/cm2、70~79歳:0.991/0.795 g/cm2、80歳以上:0.931/0.726 g/cm2であり、80歳以上の症例が他の年代よりも低値であった。全ての年代において、腰椎・大腿骨BMDと体幹筋量、SMIに有意な相関を認めた。加えて、70~79歳では、BMDと握力(腰椎r=0.275、大腿骨r=0.323)に、80歳以上では腰椎BMDと最速歩行速度に有意な相関を認めた(r=0.265)。【考察】昨年の報告や過去の報告と同様、BMDと相関を認める因子は筋量であった。体幹筋量は腰痛や脊椎アライメントとの関連が報告されているが、骨密度維持においても重要な因子であると考えた。また、年代ごとの相関分析の結果から、70歳代では握力が、80歳以上では歩行速度が骨密度の指標となり得ることが示唆された。【結論】70歳代では握力が、80歳以上では歩行速度が骨密度の指標となり得る。
I don't have COI relationships whitch should be disclosed.