Chair)
正史 木元
(船橋整形外科 西船クリニック)
【目的】超高齢化社会の日本は骨粗鬆症患者が1300万人を超え,50歳以上の女性4人に1人が罹患している.当院では骨粗鬆症による脆弱性骨折の二次骨折予防として,骨折リエゾンサービス(Fracture Liaison Service:FLS)に取り組んでいる.今回,FLS介入から半年後の腰椎骨密度の変化率に与える因子を検討したので報告する.【対象と方法】対象はFLS介入者370名中,半年間のデータ追跡が可能であった65名(83.4±9.3歳)の女性とした.方法は介入時と半年後の腰椎骨密度(Young Adlut Mean:YAM)の変化率とAlb,Ca,年齢,BMI,基礎疾患,薬剤,大腿骨頸部YAM値変化率,TotalHipYAM値変化率,握力,歩行速度の10項目の関連性を検討した.解析はEZRの重回帰分析を使用し5%未満を有意とした.【結果】握力(P<0.05), TotalHipYAM値変化率(P<0.05),大腿骨頸部YAM値変化率(P<0.01),歩行速度(P<0.01)に有意差を認め,その他の項目は有意差を認めなかった.【考察】骨粗鬆症の治療は薬物,食事,運動が重要であり,当院でも薬物,食事指導,運動機能評価を積極的に行っている.今回,介入時の運動機能が高いほど半年後の腰椎YAM値の変化率が高かった.握力は全身の筋力と相関があるとされ,筋力維持によって歩行が可能であり,持続的な骨刺激によりTotalHip,大腿骨頸部YAM値変化率に影響があったと推察した.身体活動は骨密度を増し,骨質を改善することで骨強度を高めるとの報告もあり, 薬物,食事に加え,筋力と歩行の維持が半年後の骨密度改善に重要であった. 20歳頃で骨量最大値となり,50歳から骨粗鬆症は増加するが,30-40歳代では運動頻度が減少する負の相関を示した報告もあり,若年期における十分なカルシウム摂取と最大骨量の維持が骨粗鬆症予防と骨密度改善に重要であった.【結論】中年期の運動習慣と早期の骨密度検査が骨粗鬆症,二次骨折予防に重要であり,若年期から高齢期まで幅広く啓蒙活動が必要であった.
I don't have COI relationships whitch should be disclosed.