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黒河内 和俊 (重工記念病院 整形外科・関節鏡センター)
膝OAに対する多血小板血漿(以下PRP)療法は保険外診療ではあるが、膝OAに対する有効な治療として認識され広く用いられつつある。自己タンパク質溶液(以下APS)は次世代のPRPともよばれ、Zimmer Biomet社のキットを用いてPRPを脱水処理により成長因子ややサイトカインなどのタンパク質を濃縮精製した溶液であり、当院でも2019年からAPS療法を開始し、2023年2月までに259膝に治療を行った。当院では、APS療法の臨床評価としてknee injury and osteoarthritis outcome score(以下KOOS)と痛みに対するnumerical rating scale(以下NRS)を用いており、画像としては立位単純X線と1.5TMRI、2022年からは3次元MRI化画像解析システム(以下Vincent)を用いて軟骨の評価を詳細に行っている。日本では少子高齢化と医療の高度化により医療費は増大する一方で、地域や診療科の地域の医療資源の偏在化も進行している。2024年度からは医師の働き方改革も適応され、深刻な医療資源不足も懸念されており、政府は医療DXを推進し医療の効率化を目指している。mymobilityは患者様の治療前・後をスマートフォンを用いてサポートするアプリケーションであり、アプリを介して「医師・PT・看護師などの医療従事者」と「患者様」をアプリの中で繋ぎ、治療に関する教育コンテンツや臨床スコアなどをアプリ上で配信提供するサービスである。これまで当院の外来では治療内容の説明や臨床スコアの収集は紙ベースが主体のアナログであったが、外来診療におけるデジタル医療のきっかけとして、2023年1月からAPS療法を受ける膝OA患者に本アプリを導入し始めた。本講演では当院におけるmymobilityの導入事例からその有用性や課題、APS療法の臨床成績について述べる。
I don't have COI relationships whitch should be disclosed.