豊岡 毅 (西川整形外科)
杉浦 史郎 (西川整形外科, 千葉大学大学院医学研究院 環境生命医学)
大森 康高 (西川整形外科)
高田 彰人 (西川整形外科)
中村 恵太 (西川整形外科)
志賀 哲夫 (西川整形外科)
大山 隆人 (西川整形外科)
石崎 亨 (西川整形外科)
武田 大輝 (西川整形外科)
岡本 弦 (西川整形外科)
西川 悟 (西川整形外科)
【目的】慢性足関節不安定症では外反筋力の低下が報告されており、臨床での評価方法としてMMTを用いることが多い。しかしながらMMTによる評価では、検査者の筋力による影響が排除できず、回復の指標となる数値目標も提示することが困難である。そこで、徒手筋力計により筋力を数値化し、症状の改善前後を比較することで、症状と関連する外反筋力のcut off値を算出することを目的とした。
【対象と方法】対象は当院外来を受診し、International Ankle Consortiumの基準より慢性足関節不安定症と判断し最終転帰を確認できた4例5足とした。対象の平均年齢は21.0±11.9歳、性別は男性2名女性2名、最終捻挫からの平均罹患期間は3.3±2.1年であった。調査項目は初回と最終の外反筋力、Numerical Rating Scale(NRS)、治療転帰とした。外反筋力の測定方法は徒手筋力計を用いた独自の装置を作成した。統計処理は、初回と最終の外反筋力とNRSについて対応のあるt検定を用いた。また、初回と最終の外反筋力についてROC解析を行い、症状に関連するcut off値を算出した。
【結果】外反筋力は初回7.2±4.4kgf 最終13.7±6.4kgf、NRSは初回7.5±0.7最終0.8±1.5であり有意差を認めた(p<0.05)。治療転帰は全例症状が改善し、スポーツ活動を再開できていた。ROC解析の結果、症状の有無に関係する外反筋力のカットオフ値は7.0kgf(感度1.0特異度0.8 AUC0.84)であった。
【考察】臨床においてMMTで正常と判断しても、不安定感を訴える症例を経験する。このような症例を今回の装置で測定してみると筋力低下を発見することがあるため、足部の筋力を正確に評価することは有意義と考えられる。
【結論】慢性足関節不安定症における外反筋力は、徒手筋力計を用いて評価することで、症状の変化を把握することができる可能性が示唆された。
I don't have COI relationships whitch should be disclosed.