戻る 第36回臨床整形外科学会

抄録

Session

一般演題5    
手関節・肘関節
July 16 th 10:40 - 11:20

Chair

Chair) 康之 青柳
(稲毛整形外科クリニック)

Title

Author

渡辺 丈 (千葉大学 整形外科)
松浦 佑介 (千葉大学 整形外科)
大鳥 精司 (千葉大学 整形外科)

Abstract

【背景】ばね指に対する低用量トリアムシノロン(以下TA)腱鞘内注射は, 保存治療として有用である. 一方で, 過剰投与による腱断裂や感染による合併症の報告もあり, 投与回数や投与量について議論の余地がある. 我々は合併症のリスクを考慮し, TA4mg腱鞘内注射を原則1か月以上の間隔で回数制限を設けずに施行している. 【目的】注射回数制限を設けないばね指に対するTA腱鞘内注射の安全性と有効性を検討すること【対象と方法】対象は4施設で2009年4月~2021年10月にばね指で受診し, 1回以上TA4mgの腱鞘内注射を施行し, 効果判定が可能だった246例487指. 平均年齢は61歳(17-86歳), 男性183指, 女性304指, 右334指, 左153指であった. 平均経過観察期間は30か月(1-129か月)であった. 検討項目は, ばね指の重症度を示すQuinnell分類(Grade 1: A1 pulley の圧痛のみ, Grade 2: snappingあり, 自動整復可能, Grade 3: snappingあり, 自動整復不可能, Grade 4: 関節拘縮), 注射回数, 注射間隔(2回以上施行した場合), 合併症, 糖尿病の割合, HbA1c, 手術に至った割合とした. 【結果】Quinnell分類はGrade1: 196指, Grade2: 173指, Grade3: 68指, Grade4: 50指であった. 注射の施行回数は, 1回: 198指, 2回: 83指, 3回: 65指, 4回: 54指, 5回以上: 87指であり, 最大21回であった. 注射回数は平均2.7回であった. 注射間隔は中央値6. 1か月(1-24か月)であった. 合併症は全例で認めなかった. 糖尿病の割合は25. 6%(125指)で, HbA1cは平均7. 3%であった. 手術に至った割合は, 8. 6%(42指)であった. 【考察】文献的に報告されているTA腱鞘内注射の合併症は高用量がほとんどであり, TA4mgでは重篤な合併症はなかった. 約半数の指が注射回数1-2回で症状が消失し, さらなる注射を要しなかった. 【結論】ばね指に対する低用量TA腱鞘内注射は安全性, 有効性が示され, 保存治療を希望される症例には有用な方法と思われる.
I don't have COI relationships whitch should be disclosed.