戻る 第36回臨床整形外科学会

抄録

Session

一般演題5    
手関節・肘関節
July 16 th 10:40 - 11:20

Chair

Chair) 康之 青柳
(稲毛整形外科クリニック)

Title

Author

川上 太郎 (たろう整形外科)
榮枝 裕文 (松岡整形外科・内科リハビリテーション)

Abstract

はじめに:高度な遠位橈尺関節(distal radioulnar joint以下DRUJ)の脱臼変形に対して、尺骨短縮術及びZipTightによるDRUJ再建を行い良好な短期成績を得たので報告する。症例:80歳、男性。数年前より、左手関節痛を自覚。急に小指及び環指の伸展障害を来し、初診。手関節の回内外・尺屈制限があり、Xpでは、尺骨頭は背側に脱臼し、Ulnar varianceは10mmであった。CTでは、尺骨は遠位部で軽度背側に屈曲変形し、脱臼位において、骨増殖性変化により、関節様構造を形成していた。重い工具を使用する職人であり、高度な機能再建を目的とし、DRUJの温存を計画した。手術は、関節様構造周囲の骨性増殖を切除し、尺骨遠位端より7.5cmで、斜めに8mm短縮骨切り、尺骨の屈曲変形を矯正し、LCP plateで固定。本来の位置に整復され、適合性も良好であった。尺骨頭より橈骨骨軸骨間膜の方向に沿って、骨穴を形成。人工靭帯を通し、ボタンで圧着。伸筋腱断裂は、約1ヶ月後、断裂腱を隣指へinterlacing sutureした。術後2ヶ月の時点で、痛みは完全に消失し、手指の動き及び関節可動域は、健側と同様になり、術後4ヶ月目に仕事に復帰した。考察:高度なDRUJ障害に対して、Sauve-Kapandji 法(S-K法)、 Darrach法(D法)が施行されているが、S-K法は尺骨近位断端の疼痛や不安定性、D法は手関節尺側の支持性損失が問題となる。今回、変形が高度であり、関節温存が難しいと考えられた症例であったが、上記手術により、高度なDRUJ機能再建が可能であった。ZipTightをDRUJ再建に使用したという報告は少ないが、TFCC再建が困難である場合、有用な方法であると考えられた。ただ、骨孔の至適位置、緊縛強度、骨孔拡大などの検討課題があり、更なる症例の蓄積が必要である。
I don't have COI relationships whitch should be disclosed.