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春日 真由 (整形外科米澤病院 リハビリテーション部)
尾畑 雅夫 (整形外科米澤病院 リハビリテーション部)
山崎 隆幸 (独立行政法人地域医療機能推進機構 金沢病院 リハビリテーション科診療部)
堂井 康平 (整形外科米澤病院 リハビリテーション部)
西川 正志 (専門学校 金沢リハビリテーションアカデミー 理学療法学科)
米澤 幸平 (医療法人社団 橘会 整形外科米澤病院 整形外科)
【目的】私達は令和4年本学会で人工膝関節全置換術(以下、TKA)術後早期から低周波・超音波療法が膝関節伸展可動域の改善に有効であることを示した。今回はTKA術前の伸展制限の程度と低周波・超音波療法効果の関係について検証することである。
【対象と方法】対象は2017年9月~2022年12月までに当院でTKAを施行した112例131膝(平均年齢77.3±7.83歳、男性27名、女性85名)とした。物理療法機器には(株)Techno Linkの低周波治療器・超音波治療器組合わせ理学療法機器USTRON(以下、USTRON)を使用した。対象はUSTRONを実施した群(以下、物療群)と実施していない群(以下、対照群)の2群に分けた。物療群は術後3日よりUSTRONを開始した。両群とも術前の伸展制限別(0°<-10°、-10°<-20°、-20°<-30°)で、各々術後3週時点の伸展制限(-1°以上)の残存率を群間比較した。統計処理にはカイ二乗検定を行った。
【結果】術後3週時点で両群の膝伸展制限残存率について、0°<-10°では物療群(n=19)5.3%、対照群(n=37)16.2%、-10°<-20°では物療群(n=20)15.0%、対照群(n=38)42.1%、-20°<-30°では物療群(n=4)50.0%、対照群(n=13)84.6%であった。-10°<-20°のみ物療群と対照群に有意差が認められた。対照群では術前の伸展制限が大きくなるにつれ、術後3週時点で膝伸展制限残存率も上昇する傾向がみられた。物療群では対照群と同様の傾向がみられたが、上昇幅は対照群に比べて小さかった。
【考察】一般的にTKAの術後可動域は術前可動域に依存することは多く報告されている。本研究も同様に術前可動域が術後可動域に依存している結果が認められた。しかし物療群は術前の伸展制限が重度な場合においても良好な術後成績が得られた。このことから術後早期からのUSTRONは術前の伸展制限が重度な場合において改善率が高く、より有効であることが示唆された。
I don't have COI relationships whitch should be disclosed.