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大平 勇人 (おゆみの中央病院 リハビリテーション部)
赤木 龍一郎 (おゆみの中央病院 膝関節・スポーツ医学センター)
小原 来夢 (おゆみの中央病院 リハビリテーション部)
山下 剛司 (おゆみの中央病院 整形外科)
【目的】人工膝関節全置換術(TKA)後において膝関節可動域(ROM)の改善は歩行能力や日常生活動作の再獲得に重要である.TKA後早期の理学療法にHAL医療用単関節タイプ(単関節HAL)を使用することで,extention lagが即時的に改善することが報告されているが,持続的なROM改善効果を検証した報告は少ない.そこで,TKA後早期の理学療法において単関節HALを使用することで得られる膝ROM改善効果を検討することを目的に研究を行った.【方法】当院でTKAを施行し,術前および術後2週時点での膝ROMを記録できた症例を対象とした.単関節HAL導入以前の55例(未導入群)と導入後の55例(導入群)について,術前患者背景として年齢,性別,Body mass indexを調査し,理学療法士が計測した術前と術後2週の膝関節屈曲,伸展可動域をカルテ情報から抽出した.両群とも術翌日から理学療法士の介入下に自動および他動膝ROM訓練および持続的他動運動による膝ROM訓練を行った.導入群ではさらに単関節HAL装着下での膝蓋骨セッティング20回,座位での膝伸展運動10回,キャスター付き台車を使用した座位での膝屈曲運動50回からなる訓練を1日2セット実施した.HAL使用訓練は術後4日目から術後2週まで週5回行った.統計解析は各検討項目に対してt検定,Mann-WhitneyのU検定を実施し,有意水準は5%未満とした.【結果】両群間で術前患者背景の各項目に有意差はなかった.術前の膝ROMは未導入群で屈曲120.6±14.3°,伸展-8.4±6.6°,導入群で屈曲115.7±18.1°,伸展 -5.7±6.0°であり未導入群の伸展可動域が不良であった(p=0.001).術後2週時点での膝ROMは未導入群で屈曲107.1±14.1°,伸展 -4.1±4.3°,導入群で屈曲105.6±12.4°,伸展-5.0±4.6°であり,両群間に有意差はなかった.【考察・結論】本研究で施行した訓練の内容および使用頻度において,TKA後2週時点での膝ROMは単関節HALの使用有無によって有意差はみられなかった.
I don't have COI relationships whitch should be disclosed.