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高畠 聖奈 (整形外科米澤病院 リハビリテーション科)
堂井 康平 (整形外科米澤病院 リハビリテーション科)
西川 正志 (専門学校 金沢リハビリテーションアカデミー 理学療法学科)
尾畑 雅夫 (整形外科米澤病院 リハビリテーション科)
米澤 幸平 (医療法人社団 橘会 整形外科米澤病院 整形外科)
【はじめに】左人工膝関節全置換術後(以下、左TKA)半年以内に複数回の転倒に伴う二次骨折を受傷した症例の理学療法の経過について報告する。【症例紹介】症例は令和3年5月左変形性膝関節症(以下、膝OA)令和3年12月右膝OAと診断された70歳代前半の女性。令和4年4月左膝痛増悪により左TKAを施行、同年5月に自宅退院。同年8月末に自宅で転倒し右大腿骨転子部骨折を受傷。観血的治療の後、9月半ばに自宅退院。退院2週間後に2度目の転倒により左大腿骨顆上骨折を受傷。観血的治療の後、11月末に自宅退院。左TKA施行時のBMI は22.6、既往歴に腰部脊柱管狭窄症(以下、LCS)これまで目立った転倒歴は無い。【経過】左TKA後の経過良好だが、右膝OAに伴う跛行は残存していた。退院後は週2回の外来理学療法を継続していたが、体調不良により週1回に減少、左膝の関節可動域は屈曲・伸展とも徐々に減少した。初回転倒による右大腿骨転子部骨折受傷時にはBMIが19.6と左TKA時と比較して大幅な体重減少が確認された。肝機能障害の影響もあり、術後は積極的に介入できなかったが、歩行時痛もなく術後10日目に杖歩行自立、術後2週で自宅退院となった。この時点でも右膝OAに伴う跛行が残存していた。その後の外来理学療法時に腰部痛・右下肢痺れが出現し、右下肢への荷重が不十分となった。さらに、再転倒により左大腿骨顆上骨折を受傷、再度入院も肝機能障害の影響により積極的な介入ができずにいた。術後は10日目に1/4部分荷重を開始し、48日目に両松葉杖歩行(3/4部分荷重)で自宅退院された。【考察】左TKA退院後に転倒を繰り返した要因として、全身状態の悪化に伴う急激な体重減少と活動量減少、LCSの急性増悪による右下肢への荷重不十分が考えられる。また,コロナ禍により外出・外泊に制限がかかり、退院後の自宅生活を想定しにくかったことも一因として考える。
I don't have COI relationships whitch should be disclosed.