関節リウマチの次世代抗体療法 ~低分子化抗TNF α抗体製剤オゾラリズマブ の基礎と臨床~
July 16 th 12:00 - 13:00
Chair)
順一 中村
(千葉大学大学院医学研究院 整形外科学)
蛯名 耕介 (大阪大学大学院 医学系研究科 運動器再生医学共同研究講座)
関節リウマチ(RA)の治療は、抗リウマチ生物学的製剤およびJAK阻害薬の登場により、劇的な進歩を遂げている。その中で最初に上市されたTNF阻害薬は、その豊富で質の高いエビデンスを背景に、生物学的製剤による標準治療の第一選択薬の一つとして位置づけられている。TNFは骨・軟骨破壊の中心的役割を担うことが近年の研究より明らかとなっており、その制御の重要性が再認識されている。一方、本邦における様々なRAコホート研究のデータから、現在も約20-25%程度のRA患者が低疾患活動性以下を獲得できていないことが明らかとなっており、RA治療には依然として解決すべき様々な問題がある。近年、薬剤の有効性や薬物動態の改善などを目的とした次世代型抗体医薬品の研究開発が進んでおり、その中から新たなTNF阻害薬として日本初のナノボディ製剤オゾラリズマブが上市された。ナノボディとはラクダ科の動物が自然に産生する重鎖抗体の可変領域VHHを断片化・ヒト化することで得られる人工的な抗体断片であり、オゾラリズマブは2つの抗TNFαナノボディと1つの抗血清アルブミンナノボディの融合した3量体である。このユニークな構造がどのような特徴に繋がるのか、解明が期待される。本セミナーでは、RA治療におけるTNF阻害の意義と課題を、近年の様々な研究エビデンスより再考する。セミナー後半では新しいTNF阻害薬オゾラリズマブのデータを共有し概説する。(ナノボディはAblynx社の登録商標です)
I don't have COI relationships whitch should be disclosed.