写真提供なし
氷見 量 (静岡みらいスポーツ・整形外科)
石川 徹也 (静岡みらいスポーツ・整形外科)
杉山 貴哉 (静岡みらいスポーツ・整形外科)
三宅 秀俊 (静岡みらいスポーツ・整形外科)
渡辺 知真 (静岡みらいスポーツ・整形外科)
【目的】腰椎分離症における体幹の柔軟性と筋機能の経過を明らかにすること。
【対象と方法】2019年9月から2022年12月までにMRIにて新鮮腰椎分離症と診断された160例を対象とした。体幹硬性装具装着後、機能改善のための徒手療法、ストレッチング、体幹トレーニングなどのリハビリテーションを実施した。柔軟性評価としてPosterior Lumbar Flexibility test(PLF)、Lumbar Locked Rotation(LLR)、Finger Floor Distance(FFD)を実施した。PLFは陽性率を、LLR、FFDは中央値(四分位範囲)を算出し、初回時と判定時を比較した。筋機能評価としてKuraus-Weber変法(KW)、Sahmann Core Stability Test(SCST)を実施した。両テストとも中央値(四分位範囲)を算出し、初回時と判定時を比較した。統計処理はカイ二乗検定とウィルコクソンの符号順位検定を用い、有意水準は5%とした。
【結果】PLFの陽性率は初回時68%、判定時10%であった。LLRは初回時60°(51.9-70)、判定時70°(63.8-80)であった。FFDは初回時4cm(-3-15)、判定時-5cm(-10-0.5)であった。各柔軟性評価は初回時と比較し判定時に有意に改善していた(p<0.01)。KWは初回時9点(7-10)、判定時9.5点(8-10)で初回時と比較し判定時に有意に改善していた(p<0.01)。SCSTは初回時1点(0.5-1)、判定時2点(1-2.25)で初回時と比較し判定時に有意に改善していた(p<0.01)。
【考察】腰椎分離症症例における柔軟性低下に対する徒手療法とストレッチングが判定時の柔軟性改善に影響を与えていたと推察される。筋機能評価はKW、SCSTで有意な改善を認めた。しかし体幹硬性装具装着下での体幹トレーニングによる筋機能向上に限界があるため、装具除去後の体幹トレーニングも重要と考えられる。
【結論】腰椎分離症患者は体幹の柔軟性低下、筋機能低下を有している例が多かった。リハビリテーションにより柔軟性、筋機能とも改善がみられた。
I don't have COI relationships whitch should be disclosed.