写真提供なし
宮坂 拡汰 （さとう整形外科クリニック）
仲山 勉 （北水会記念病院 リハビリテーション科）
平澤 直之 （北水会記念病院 整形外科）
佐藤 理行 （さとう整形外科クリニック）
【背景，目的】
腰椎分離症患者のスポーツ復帰は，受傷後3～5.5ヶ月の期間を必要とする。当院では，スポーツを3ヶ月の期間中止した後，骨癒合を確認してから開始を許可している。しかし，スポーツの完全復帰時期は患者によってばらつきがあり，そのエビデンスは不十分である。
本研究は，腰椎分離症患者のスポーツ完全復帰時期について，個人因子やスポーツ特性との関連性を明らかにすることを目的とした。
【方法】
対象は，2019年1月～2022年5月に腰椎分離症の診断（超初期～進行期）を受け同意の得られた患者とした。データ欠損の患者と合併症を認めた患者は除外した。
評価項目は，スポーツ完全復帰時期，個人因子（年齢，性別，骨年齢，病期），スポーツ特性（種類，負荷）とし，診療録から後ろ向きに検討した。スポーツ負荷は，コンタクトスポーツとノンコンタクトスポーツに分類した。統計学的解析は，目的変数をスポーツ完全復帰時期，説明変数を年齢・性別・骨年齢・病期・スポーツ種類・スポーツ負荷と設定した多変量解析を行った。
【結果】
対象者は，55名（男子42名 女子13名，平均年齢13.8歳）であった。
各説明変数の回帰係数推定値・95％信頼区間（p値）を示す。年齢は-3.4・-11.7～5.0（p=0.42），性別は22.1・-7.6～51.8（p=0.14），骨年齢は-10.9・-35.0～13.2（p=0.37），病期は38.2・20.8～55.6（p=0.00004），スポーツ種類は2.5・-2.9～7.9（p=0.36），スポーツ負荷は-43.4・-75.8～-11.0（p=0.009）であった。多変量解析の最終モデルでは，性別（回帰係数28.6），病期（回帰係数37.4），スポーツ負荷（回帰係数-42.2）が抽出された。
【考察，結語】
本研究では，腰椎分離症患者のスポーツ完全復帰時期について，性別，病期，スポーツ負荷が関連する結果であった。そのため，各患者の病期やスポーツの負荷別に的確な復帰時期を指導する必要性が示唆された。
I don't have COI relationships whitch should be disclosed.