臨床に役立つ変形性膝関節症の画像診断と治療への応用
第8会場(105)
2023年07月16日 15:50 - 16:50
座長
)佐粧 孝久
(千葉大学 整形外科)
座長
)
渡辺 淳也
(都賀整形外科リハビリクリニック)
"本講座の目的は、変形性関節症(OA)を扱う医療従事者を対象として、OAの治療に必要とされる最新の画像診断法、及び画像所見と疼痛治療に関する最新の知見などの包括的な教育を行うことである。
OAでは医療機関受診の動機となる愁訴は主として関節痛であり、正確な診断を行い、関節痛を適切に抑制することが求められる。またOAの進行に伴って生じる組織病変には様々なものがあるが、個々の症例において関節痛の原因となる病変を特定することは臨床上極めて有用である。
OAが疑われる症例に対しては、一般に単純X線による画像評価が行われ、臨床所見と合わせて診断が行われる。単純X線では骨硬化、骨嚢腫、骨棘など骨病変の評価に加え、立位で撮影を行うことにより、関節裂隙の幅から軟骨の厚さを間接的に評価することが可能である。一方で単純X線では、特に初期のOA像を示す症例において、関節リウマチ、特発性骨壊死など早期の対応を求められる疾患との鑑別が困難なことが知られる。
MRIは単純X線では診断が困難なこれらの疾患の早期診断能に優れ、OA診療において最も有用性の高い鑑別診断法とされる。また近年、膝OAで認められるMRI異常所見と膝関節痛との関連についてさまざまな報告がなされており、個々の症例の痛みに対する治療を選択する上で注目されている。
このような背景から、OAの診断に適した単純X線やMRIなどの適切な撮影、撮像法を習得し、OAで認められる病的画像所見の読影に精通することは、OA治療に携わる臨床医にとって極めて重要である。さらに臨床所見と病的画像所見、そして疼痛に関する最新の知見を併せて総合的に判断することにより、個々の症例の痛みの原因をより正確に推測することが可能となる。病態の異なる個々のOA症例において適切な治療法を選択することで、OAにおける疼痛治療の促進を目指すことが可能となると考えられる。
グラント:Pfizer’s Global Medical Grants program “Educational program of diagnostic imaging for promoting pain treatment in osteoarthritis care”
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利益相反の有無:なし