戻る 第36回臨床整形外科学会

抄録

Session

パネルディスカッション    
整形外科医療機関における医療安全の工夫
July 17 th 10:10 - 11:40

Title

Author

写真提供なし
大塚 誠 (君津中央病院 整形外科)

Abstract

医療現場での放射線使用は増加しており、医療従事者の被ばくが問題になっている。整形外科でも低侵襲手術の普及により術中透視の使用頻度は増加しており、過度な放射線被ばくの危険性がある。本発表では整形外科に関連した放射線被ばくについての過去の文献をレビューして、放射線安全管理について考察する。職業被ばくの線量限度は実効線量が5年間で100mSv、1年間で50mSv、等価線量が水晶体は5年間で100mSv、1年間で50mSv、皮膚が1年間で500mSvとされている。整形外科手術で被ばく量が多い部位は手指であり、術式では脊椎外科、特にBKPや椎体形成術で1椎体あたり0.1m ~ 1 mSv程、国内の報告では1椎体で1.46 mSv、眼で0.24 mSvとされている。手や足の手術は比較的線量が少ないが、経皮的鋼線固定で0.8 mSvとの報告が、また大腿骨髄内釘はshort nailで0.142 mSv 、long nailで0.25 mSvと報告がある。透視使用頻度が多い脊椎外科医は線量限度を超えている可能性がある。また低線量であってもがんリスクなど確率的影響の危険性があり、脊椎外科医以外も被ばく量を減らす必要がある。被ばく量低減の基本は、直接被ばくを避けることである。また散乱線を考慮したC-armの設置と術者の配置が重要である。放射線防護3原則である距離、遮蔽、時間に則した対応が必要であり、照射部からできるだけ距離(2m)をとるようにする。プロテクターの使用だけでなく、防護メガネや防護グローブ、遮蔽板の利用、また照射時間短縮とともにパルス照射や絞りも有用である。整形外科医は放射線被ばくの危険にさらされていることを理解して対策を講じなければならない。また放射線安全管理は個人の努力だけでは成立しないため、病院全体としてこの課題に取り組む必要がある。
I don't have COI relationships whitch should be disclosed.