戻る 第36回臨床整形外科学会

抄録

Session

主題6    
足関節周囲外傷の診断と治療
July 17 th 09:10 - 09:50

Chair

Chair) 智範 熱田
(熱田整形外科)
Chair) 篠原 裕治
(北千葉整形外科)

Title

Author

熱田 智範 (熱田整形外科)

Abstract

【目的】当院における、新鮮足関節外側靭帯損傷に対する保存療法の治療プロトコールの有用性について検討したので報告する。【方法】エコー検査とMRIにより新鮮足関節外側靭帯断裂と診断した症例に対し足関節機能的サポーターを用いて保存療法を施行する。当院で作成した治療プロトコールは、新鮮足関節外側靭帯断裂と診断すると、まず鐙型ギプスシーネ固定とRICEを行い疼痛の許す範囲で荷重を許可する。腫脹が低下した時点で足関節背屈・外返しのROM訓練、腓骨筋・足関節背屈筋訓練とアキレス腱のストレッチを開始し、2週以内に支柱付き足関節サポーターを作成し終日装着させる。この際、定期的にエコーを用いて断裂靭帯の癒合状態を確認する。3週前後で、エコー検査で断裂部の一部癒合が確認できたら足関節底屈・内返しのROM訓練を開始し、固有知覚受容器訓練も開始する。5~6週で、エコー検査にて断裂部の完全癒合が確認できたら、夜間のみ足関節サポーターの取り外しを許可し、ジョギングを開始し、徐々に走行とジャンプを行いスポーツや重労働への復帰を目指すというものである。前述の治療プロトコールを用いて2017年5月から2020年3月までに治療した105例(女性58例,男性47例,平均26.3歳)の治療成績について検討した。受傷日より1週間以上経過した症例や裂離骨折などの骨折を合併した症例は除外した。経過観察期間は平均6.1か月(6~7か月)であった。【成績】最終観察時のストレスX線でAnterior Drawer Distance (ADD)が8mm以上の成績不良例は3.2%であり、Talar Tilt Angle (TTA)が10°以上の成績不良例は2.2%であった。【結論】新鮮足関節外側靭帯損傷に対しMRIとエコー検査を用いて正確に診断を行い、治療の過程においてエコーを用いて断裂靭帯の癒合状態を確認しながら適切な治療プログラムを決定することで治療成績の向上につながると考える。
I don't have COI relationships whitch should be disclosed.