戻る 第36回臨床整形外科学会

抄録

Session

主題6    
足関節周囲外傷の診断と治療
July 17 th 09:10 - 09:50

Chair

Chair) 智範 熱田
(熱田整形外科)
Chair) 篠原 裕治
(北千葉整形外科)

Title

Author

森川 圭造 (森川整形外科医院)

Abstract

【目的】足関節果部骨折に関しては、受傷後の足関節機能回復のため解剖学的整復が必要となり、手術的治療の適応となる。しかしながら様々な理由により、本骨折に関して保尊療法を求められることがある。今回、当院で本骨折に対し保存療法を行い、その治療成績から、その適応と限界について検討した。【対象と方法】平成18年1月から、当院で加療を行った足関節果部骨折を対象とした。骨折の重傷度は、画像診断によるAO/OTA骨折型分類、また骨折部周辺の腫脹、皮下出血などの軟部組織損傷から重症度を評価した。治療方法は、受傷直後骨折部を整復し、膝下ギプス或いはwalking castなどによる外固定を行った。外固定は受傷後4から6週間程度を行い、その後は、サポーター装着などの補助固定を用いて、荷重歩行を行った。治療成績の評価については、Burwellの評価基準による臨床評価とX線学的評価を用い検討した。【結果】最終調査時においては、対象の9.5%が治療期間中に手術療法へと変更されていた。残る90.5%については、Burwellの評価の主観的評価のgoodが約7割程度、fairが2割、poorが1割程度であった。客観的評価でも同様に、goodが約7割、fairが2割、poorが1割程度であった。X線学的評価では、anatomicalが6割、fairが3割、poorが1割程度であった。【考察および結論】足関節果部骨折に関し、保存療法については、一般に比較的軽症な骨折例に対し適応とされることが多い。しかしながら、手術や麻酔に対するリスク回避や医療経済的な理由により手術療法が行われない場合については、保存療法に委ねられる場合があった。また本骨折保存療法については、不安定型の重症な骨折、特に合併する軟部組織の損傷の程度や複合損傷によるものに関しては、治療成績も不良であり、その限界も考えられた。本治療法は、骨折の重症度を考慮して、適切な骨折治療のマネージメントが治療成績に関与するものと思われた。
I don't have COI relationships whitch should be disclosed.