戻る 第36回臨床整形外科学会

抄録

Session

主題6    
足関節周囲外傷の診断と治療
July 17 th 09:10 - 09:50

Title

Author

写真提供なし
中嶋 啓文 (千葉大学 整形外科)
山口 智志 (千葉大学 整形外科, 千葉大学大学院国際学術研究院)
木村 青児 (千葉大学 整形外科)
三上 行雄 (千葉大学 整形外科)
渡邉 翔太郎 (千葉大学 整形外科)
戸口 郁 (千葉大学 整形外科)
伊藤 竜 (千葉大学 整形外科)
坂本 卓弥 (千葉大学 整形外科)
佐粧 孝久 (千葉大学 整形外科, 千葉大学予防医学センター・運動器疼痛疾患学)
大鳥 精司 (千葉大学 整形外科)

Abstract

【目的】足関節骨折に伴う遠位脛腓関節離開の手術では、水平面で脛腓関節に対して垂直に鉗子で把持し、スクリューを刺入することで良い整復位を得ることができる。Center center method(CC)は、X線透視の足関節側面像で腓骨の前後中央と脛骨の前後中央を重ね合わせ、その方向に把持、刺入する方法である。本研究の目的は、1)CCによるスクリュー挿入方向と脛腓関節に垂直な方向との差を計測すること、2)異なる関節面からの距離でCCを行った時の計測値を比較することである。【方法】対象は、足関節疾患や下肢外傷でCTを撮影した患者150名150足(女79名男71名、平均51歳)である。CT画像より、コンピュータ画面上で模擬のX線透視足関節側面像(デジタル再構成X線)を作成した。足関節を内外旋させ、足関節面の直上(0mm)で腓骨と脛骨の前後中央を重ね合わせ、CCを行った。再構成X線画像と連動した関節面直上のCT水平断像上で、CCで決定したスクリュー刺入軸を投影した。同時に、脛腓関節に垂直で外果外側縁を通る軸を描出し、両軸のなす角度を計測した(角度差)。また、両軸が脛骨内側骨皮質を通過する点の距離を計測した(通過点間距離)。同様の操作を、足関節面から近位10mm、20mmでも行った。関節面の高さによる計測値の差を一元配置分散分析で比較した。【結果】角度差は、全体で8.5±6.8度で、CCによる軸の方が脛腓関節に垂直な軸よりも内旋していた。0mmで1.9±4.0度、10mmで10±5.3度、20mmでは13±5.1度であり、関節面に近いほど差が小さかった(P<0.001)。通過点間距離は全体で7.7±6.3mmだった。0mmで2.0±4.2mm、10mmで9.7±4.9mm、20mmでは11±5.2mmで、関節面に近いほど距離が小さかった(P<0.001)。【結論】関節面からの距離が短いほうが、CCによる軸と遠位脛腓関節に垂直な軸との差が小さかった。足関節面に近い位置でCCを行うことで、不適切な鉗子の把持による整復不良が減る可能性がある。
I don't have COI relationships whitch should be disclosed.