戻る 第36回臨床整形外科学会

抄録

Session

主題7    
日常診療におけるエコーの活用
July 17 th 10:00 - 10:30

Title

Author

写真提供なし
斉藤 究 (さいとう整形外科リウマチ科)

Abstract

【目的】上腕骨外側上顆炎に対するステロイド注射は再発例・難治例も少なくない。外側上顆に付着する筋群の伸張性低下が外側上顆の付着部牽引ストレスとなり外側上顆の腱症(Tendinopathy)、付着部症(Entethopathy)を引き起こしていると考え、外側上顆に付着する筋群の筋硬結(筋腹内の筋の硬くなっている部分)にMuscle hydro releaseを行い、その成績を検討した。
【対象と方法】2019年から2022年までに外側上顆の痛みを訴え、トムゼンテスト(手関節自動背屈に対する抵抗テスト)、中指伸展テスト(中指自動伸展に対する抵抗テスト)で疼痛または筋出力低下を認めた37例(男性10例、女性27例、平均50歳(34歳~63歳))を対象とした。外側上顆周囲の筋をエコー下触診し、筋硬結内に重炭酸リンゲル液(ビカネイト)を1~2cc注入し、NRSの変化、治療回数、治療筋数につき計測した。適宜理学療法や干渉波治療を併用した。
【結果】初回治療後(7日±3日目)には外側上顆NRS平均6.69、2か月目(56日±3日)にはNRS平均2.25まで改善がみられた。初回治療後37例中6例(16%)がNRS3以下、そのうち3例(8.3%)はNRS0となった。その後30日以内に8例22%、60日以内に計16例44%がNRS3以下となった。治療した筋の数は治療回数に従い初回治療2.28筋から9回目治療1.5筋へと減少した。主に治療を要した筋は短橈側手根伸筋、総指伸筋、尺側手根伸筋であり、上腕三頭筋、肘筋の治療でトムゼンテストの疼痛症状が改善する例も見られた。
【結論】上腕骨外側上顆炎に対して、外側上顆に付着する筋群の筋硬結に対するハイドロリリースを行い、2か月治療後のNRSは平均2.25に改善した。
I don't have COI relationships whitch should be disclosed.