戻る 第36回臨床整形外科学会

抄録

Session

主題8    
ロコモティブシンドロームの啓発活動
July 17 th 10:40 - 11:20

Title

Author

高田 彰人 (西川整形外科)
杉浦 史郎 (西川整形外科, 千葉大学大学院医学研究院 環境生命医学)
豊岡 毅 (西川整形外科)
中村 恵太 (西川整形外科)
志賀 哲夫 (西川整形外科)
大山 隆人 (西川整形外科)
石崎 亨 (西川整形外科)
高田 裕佳 (西川整形外科)
大森 康高 (西川整形外科)
大槻 哲也 (西川整形外科)
武田 大輝 (西川整形外科)
冨沢 亮太 (西川整形外科)
岡本 弦 (西川整形外科)
西川 悟 (西川整形外科)

Abstract

【目的】
近年、運動器に障害のある子どもが増えており、子どもロコモが問題になっている。2020年初頭から感染拡大したCOVID-19による深刻な運動不足の中で、ソーシャルディスタンスを保てる縄跳びが積極的に行われた。今回はその縄跳びにより受傷した小児脊椎圧迫骨折症例を4例経験したので報告する。
【症例】
2021年からの2年間で当院を受診した18歳以下の症例のうち、縄跳びで受傷してMRI検査にて脊椎圧迫骨折と診断されたのは4例であった。症例1は11歳男性(身長152cm、体重42kg、野球)で激しい跳び技を急激に繰り返して第5胸椎圧迫骨折と診断された。症例2は11歳男性(身長142cm、体重36kg、ハンドボール)で二重跳びを過度に繰り返した夕方から痛みが生じて第8胸椎圧迫骨折と診断された。症例3は8歳男性(身長120cm、体重25kg、スポーツなし)でコンクリートにて二重跳びを40分以上続けて第6・9胸椎圧迫骨折と診断された。症例4は10歳女性(身長130cm、体重28kg、水泳)で久しぶりに二重跳びなどを30分以上続けて第8胸椎圧迫骨折と診断された。全例が小学生であり、疼痛部位は全例が背部中央であった。
【考察】
小学生が縄跳びによって背部中央に痛みを訴えた場合には脊椎圧迫骨折を念頭に置き、MRI検査を検討する必要がある。ジャンプ運動は骨量を増加させるという報告もあるが、今回の症例は短期間に高負荷な縄跳びを繰り返していたので、適切な運動量の設定が必要であると考える。今回の結果だけでは小児脊椎圧迫骨折とCOVID-19や子どもロコモとの関連は不明であるが、骨粗鬆症に関連する骨折を予防するためには幼少期から運動により骨の量と質を高めることが重要である。今後、脊椎圧迫骨折の低年齢化が進む可能性もあるので、子どもロコモの啓発活動と共に小児脊椎圧迫骨折の特徴を明らかにしていきたい。
【結論】
小学生が縄跳びで背部中央に痛みを訴えた場合には脊椎圧迫骨折の症例が存在することがある。
I don't have COI relationships whitch should be disclosed.