【目的】2022年の診療報酬改定で、大腿骨近位部骨折(以下大腿骨折)の二次骨折予防(以下FLS)介入に対し二次性骨折予防継続管理料(以下管理料)が新設された。当院の松骨プロジェクトチーム(以下チーム)では、大腿骨折後のFLSプロトコルを作成しパスを運用し始めた。今回は、このプロトコル運用に関するチーム内の修正や課題を検討する。
【対象と方法】2022年8月~2023年1月までに大腿骨折で入院した患者17例のFLS介入について、チーム全員(20名)にアンケート調査を行い、その結果を検討した。
【結果】17例中、15例に骨粗鬆症検査(骨代謝マーカー・DXA)を行った。転院した3例を除く自宅退院14例(82%)に、スクリーニング評価、栄養・運動・薬物指導を実施し、その全例に管理料1を算定した。
チーム活動についてのアンケート調査では、対象患者が入院したことを電子カルテ内メールでチームメンバーに発信することの利点と欠点、パス開始日のばらつき、病棟看護師以外の職種への退院情報の不足、FLS介入状況がリアルタイムに表示される「OLS評価アプリ」の活用不十分、医師によりFLS介入への意欲に差がある、管理料3に繋がるための情報発信不足などの意見が出された。
【考察】対象患者の情報が適切なタイミングで各職種に伝わらなかったため、病棟看護師だけが活動を進めている傾向があった。各職種への入院情報発信のタイミングの修正、パス運用の徹底、退院日の伝達手段の検討、「OLS評価アプリ」の再周知、医師にFLS介入への意識付け、管理料3に繋ぐことが出来るような情報発信方法の検討などが課題として挙げられた。
【結論】開始間もないため相対的な評価とは言えないが、転院以外の全例に管理料を算定できたことより、作成したプロトコルは、おおむね適正であることが分かった。この調査でそれぞれ自部署の活動を振り返り「質を向上させる介入」という課題が明確になった。
I don't have COI relationships whitch should be disclosed.