戻る 第36回臨床整形外科学会

抄録

Session

主題9    
骨粗鬆症リエゾンサービス ―多職種連携―
July 17 th 13:10 - 14:10

Title

Author

写真提供なし
高山 剛 (森永整形外科医院)
森永 秀史 (森永整形外科医院)

Abstract

【背景】骨粗鬆症診断において二重エネルギーX線吸収測定法(DXA)に比べ定量的超音波測定法(QUS)の有用性は少なくなっている。しかし集団健診においては簡便さ、侵襲の少なさから未だ頻用されている。【目的】集団健診におけるQUSと橈骨DXA測定値を体幹DXAと比較し骨粗鬆症診断のためのカットオフ値の妥当性を検証すること。【対象と方法】当院関係者100名のボランティアに対し、橈骨DXAと踵骨QUS、体幹DXAを測定した。内訳は男性25名、女性75名、平均年齢49(±12)歳であった。橈骨DXAは日立アロカDCS-600EXVを、体幹(腰椎、大腿骨頸部、大腿骨近位部)DXAはGE iDXAを使用し、それぞれBMD、YAM値を計測した。QUSはGE A-1000 EXP IIを使用し、スティフネス値とYAM値を計測した。年齢と各YAM値の関係、部位間の骨密度計測値の関係の検定にはピアソンの相関係数を用い、有意水準は5%未満とした。また橈骨YAM80%未満、QUSスティフネス値83未満をカットオフ値として設定した場合にガイドラインで推奨される体幹DXA、腰椎、大腿骨頸部、大腿骨近位部のいずれかが80%未満となるのを陽性(骨粗鬆症の疑いあり)とし、χ二乗検定を用いて感度、特異度、陰性的中率を計算した。【結果】年齢と各YAM値はいずれも負相関であり、加齢とともに低下した。体幹DXAに対する相関については腰椎に対し橈骨:r=0.55, p<0.001、踵骨:r=0.55, p<0.001、大腿骨頸部に対し橈骨:r=0.42, p<0.001、踵骨:r=0.52, p<0.001 、大腿骨近位部に対し橈骨:r=0.35, p<0.001、踵骨:r=0.48, p<0.001 であり、橈骨よりも踵骨に高い相関を認めた。橈骨、踵骨それぞれのカットオフ値を基準とした骨粗鬆症疑いの有無については橈骨:感度19.2%、特異度95.9%、陰性的中率77.2%に対し、踵骨:感度76.9%、特異度78.3%、陰性的中率90.6%であった。【考察】集団健診においては感度、陰性的中率の高いQUSのほうが橈骨DXAよりも優れていた。
I don't have COI relationships whitch should be disclosed.