【目的】新鮮骨粗鬆症性椎体骨折(fresh OVFs)を契機にロモソズマブ(ROMO)を用いた症例の臨床成績について報告する。【方法】fresh OVFsを契機にROMOを用い、12か月(M)以上経過観察可能であった66人(男性10人, 女性56人, 平均年齢80歳)を対象とした。評価は腰椎骨密度(L1-4椎体正面測定)、大腿骨骨密度、X-ray、VAS、RDQ、Ca、TRACP、PINPを用い、投与開始前(0M), 開始後6M, 12Mを評価した。骨折椎体の経時的骨硬化による腰椎骨密度への影響を是正するため、全患者を”L1-4なし”群(L1~4 OVFを含まない群)と”L1-4あり”群(L1~4 OVFを含む群。骨折椎体の経時的骨硬化が6M, 12M腰椎骨密度を異常に増加させると予想される)に分け、1)“L1-4なし群”のBMD、YAM、T-scoreを算出、2) “L1-4あり群”の各症例で、骨折椎体を除した椎体の平均(“非骨折椎体群”)のBMD、YAM、T-scoreを算出、3) “L1-4なし群”と“非骨折椎体群” ( ”L1-4あり群“ )のBMD、YAM、T-scoreを合計し、全症例のBMD、YAM、T-scoreとした。【結果】椎体傾斜角によるX-ray評価では治療後2,3ヶ月以降に椎体不安定性を認める症例はなかった。intervertebral cleft signは3/87椎体に認めた(骨癒合率96.6%)。腰椎骨密度は 0M:0.77から6M:0.87, 12M:0.91へ有意に増加した。腰椎骨密度増加率は6M:11.2%, 12M:16.8%であった。”L1-4なし”群の骨密度は”L1-4あり”群と比較して0M, 6M, 12Mいずれも有意に低かった。大腿骨骨密度は0M:0.62から12M:0.63へ有意に増加し、骨密度増加率は6M:1.4%, 12M:2.5%でであった。VAS, RDQともに投与1Mから有意に低下した。TRACP, PINP値の推移はROMOの骨モデリング効果を示唆した。【考察】ほとんどの症例でROMO投与後早期に骨癒合が得られた。腰椎骨密度は6Mから有意に増加した。【結論】fresh OVFsを伴う骨粗鬆症患者へのROMO投与は有用であった。
I don't have COI relationships whitch should be disclosed.