腰痛疾患に対する運動器リハビリテーションの効果の検証
July 17 th 14:00 - 15:00
写真提供なし
諸澄 孝宜 (北千葉整形外科 リハビリテーション部)
橋川 拓史 (北千葉整形外科 リハビリテーション部)
塙 大樹 (北千葉整形外科 リハビリテーション部)
水谷 律之介 (北千葉整形外科 リハビリテーション部)
中山 綺佳 (北千葉整形外科 リハビリテーション部)
金 民世 (北千葉整形外科)
萩原 義信 (北千葉整形外科)
蓮江 文男 (北千葉整形外科)
寺門 淳 (北千葉整形外科)
【目的】2022年度の診療報酬改定により、標準的算定日数を超えて疾患別リハビリテーションを行う際、機能的自立度評価法(FIM)の評価が義務づけられた。FIMはADL自立度を包括的に評価し得るが、整形外科外来における運動器リハビリテーション(運動器リハ)の効果判定としての有用性は不明である。本研究では、腰痛患者に対する運動器リハの効果判定の有用性について、FIMと日本整形外科学会腰痛評価質問票(JOABPEQ)、ロコモ25、NRSで比較検討した。
【対象と方法】2022年5月から8月までの期間に腰痛を主訴として当院を受診し、運動器リハが処方された患者は297名であった。そのうち、初回と2ヵ月後の評価が可能であった55名(男性26名、女性29名、平均年齢60.9歳)を対象とした。評価項目はFIM 、JOABPEQ、ロコモ25、NRSとし、運動器リハ初回介入時(A)、1ヶ月後(B)、2ヶ月後(C)に評価した。統計解析は一元配置分散分析により群間差を検討した。
【結果】FIM合計スコアの平均値はA125.8、B125.7、C126.0で群間差を認めなかった。JOABPEQの疼痛関連障害(A56.5、B75.7、C79.7)、腰椎機能障害(A63.4、B80.0、C80.2)、歩行機能障害(A60.4、B70.9、C76.8)、社会生活障害(A55.0、B67.9、C70.1)では、AよりもBとCで有意に改善した(p<0.01)。ロコモ25(A22.8、B15.2、C12.4)とNRS(A5.4、B3.5、C2.7)もB、Cで有意に改善した(p<0.01)。
【考察】本結果より、治療者バイアスが入りにくい患者立脚型評価法であるJOABPEQやロコモ25、NRSは運動器リハの効果を反映して有意な変化を認めた。FIMは腰痛患者の主観的な痛みや寝返り動作などの機能障害を反映した項目は少なく、腰痛患者に対する運動器リハの介入効果判定としては不十分であることが示唆された。
【結論】腰痛患者に対する運動器リハの効果判定として、FIMは改善効果を十分に反映しているとは言えず、JOABPEQやロコモ25、NRSの方が有用であると考える。
I don't have COI relationships whitch should be disclosed.