腰痛疾患に対する運動器リハビリテーションの効果の検証
July 17 th 14:00 - 15:00
写真提供なし
野邊 和泉 (松戸整形外科病院 リハビリテーションセンター)
安宅 洋美 (松戸整形外科病院 脊椎センター)
望月 江梨子 (松戸整形外科病院 リハビリテーションセンター)
志田 菜都美 (松戸整形外科病院 リハビリテーションセンター)
小豆嶋 優太 (松戸整形外科病院 リハビリテーションセンター)
池田 拓郎 (松戸整形外科病院 リハビリテーションセンター)
仲澤 徹郎 (松戸整形外科病院 脊椎センター)
平松 翔 (松戸整形外科病院 脊椎センター)
松田 雅弘 (順天堂大学 保健医療学部 理学療法学科)
丹野 隆明 (松戸整形外科病院 脊椎センター)
【目的】
当院では腰部疾患患者に対する理学療法として、座位での両上肢拳上位にて左右股関節を交互に屈曲させるエクササイズ(以下:体幹Ex)を行っており、第25回日本腰痛学会にて体幹Exは体幹筋活動を高める事を報告した。今回は、体幹Exにおける両上肢挙上が股関節屈曲動作時の体幹筋活動に及ぼす影響について、健常者の体幹筋活動の筋電図波形を用いて検討したので報告する。
【方法】
対象は整形外科疾患を有さない健常成人10例(男性9例、女性1例、平均24.9歳)で、測定筋は外腹斜筋(AE)、内腹斜筋(AI)、腰部脊柱起立筋(LES)の3つとした。測定は1)安静座位、2)両上肢下垂位での測定同側股関節屈曲、3)両上肢挙上位での測定同側股関節屈曲の3項目を計測し、1)を基準値としてその変化量を求めた。計測は、各動作5秒間を測定中の筋電図波形が安定した1秒間の積分筋電図を求め、左右両側で計測した。統計学的検討にはSPSS ver.24.0を用いてWilcoxonの符号順位検定を行い、有意水準は5%とした。
【結果】
安静座位からの変化量(μV)はAE:2)-0.40、3)3.17、AI:2)18.46、3)21.94で、AE、AIでは2)と比較して3)が有意に高値(p<0.05)であり、測定同側股関節屈曲に両上肢拳上を加えることで有意に高い筋活動を示した。一方、LESは2)-1.31、3)-0.04と、各動作で筋活動の増加はみられなかった。
【考察】
股関節屈曲運動と同時に両上肢挙上を行うことで、LESの筋活動を増加させることなく、AE・AIの筋活動が増加することが確認された。本結果より、座位で行う当院体幹Exは、術後の患者においては術創部の背部伸展筋に負荷をかけず、両上肢拳上により胸郭-脊柱-骨盤帯を安定させつつ、股関節屈曲による腹部筋群の活動性増強効果をさらに増幅させる効果があり、効率よく体幹筋を促通することが出来るエクササイズとして有効であると考えられた。
I don't have COI relationships whitch should be disclosed.