戻る 第36回臨床整形外科学会

抄録

Session

一般演題14    
膝関節1
July 17 th 13:10 - 14:00

Title

Author

写真提供なし
森 貴大 (習志野第一病院 整形外科)
三橋 繁 (習志野第一病院 整形外科)

Abstract

【緒言】人工膝関節全置換術(以下TKA)におけるナビゲーションシステムの使用は,正確なインプラント設置や下肢アライメントの再現に有用とされる.今回我々は,術後に大腿骨トラッカーピン刺入部でインプラント周囲骨折を来たした1例を経験したため報告する.
【症例】60歳,女性.外側型の右変形性膝関節症に対しStryker社製ナビゲーションシステムを使用しTKAを施行した.経過良好で術後3週で杖歩行にて退院となった.術後4週で右大腿部痛が出現し,その数日後に轢音と共に症状増悪し救急搬送された.エックス線で右大腿骨顆上完全骨折を認め,下腿直達牽引などの治療を開始した.TKA術後画像を慎重に見直すと,トラッカーピンが皮質骨にのみ刺入されており,その骨孔を起点に骨折が発生していた.手術は側臥位でのプレート固定を要し,後療法ののち現在外来にて経過観察を行っている.
【考察】ナビゲーションを使用したTKAの合併症として大腿骨トラッカーピン刺入部での骨折の報告が近年散見される.原因としてトラッカーピンの打ち直しや,トラッカーピンの刺入位置不良が挙げられる.本症例では大腿骨トラッカーピンが内側皮質骨に接するように刺入される,いわゆるtranscortical pinとなっていた.加えて,外反膝を矯正した結果,腸脛靭帯の張力が加わり,骨孔を起点とした骨折を来たしたと考えられる.ナビゲーションを使用したTKAにおいて,Transcortical pinは避けるべきと考えられる.
【結論】ナビゲーションシステムを使用したTKA術後の大腿骨トラッカーピン刺入部での骨折を経験した.比較的稀ではあるが,ナビゲーションシステム特有の合併症であり,このような合併症を防ぐためにもピン刺入の際にはtranscortical pinとならぬよう注意すべきである.
I don't have COI relationships whitch should be disclosed.