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橋本 昂介 (船橋整形外科西船クリニック 理学診療部)
平尾 利行 (医療法人紺整会 船橋整形外科クリニック 理学診療部)
宮内 秀徳 (医療法人紺整会 船橋整形外科クリニック 理学診療部)
老沼 和弘 (医療法人紺整会 船橋整形外科病院 診療部)
東 秀隆 (医療法人紺整会 船橋整形外科病院 診療部)
三浦 陽子 (医療法人紺整会 船橋整形外科病院 診療部)
二宮 太志 (医療法人紺整会 船橋整形外科病院 診療部)
濱田 博成 (医療法人紺整会 船橋整形外科病院 診療部)
白土 英明 (医療法人紺整会 船橋整形外科病院 診療部)
【目的】我々は変形性膝関節症(Knee osteoarthritis:KOA)を対象に運動療法を実施し経過を観察したところ、日本語版Lower Extremity Functional Scale(LEFS)が3ヵ月間で有意に改善することを明らかにした。しかし、臨床的最小重要変化量(Minimal Clinically Important Difference:MCID)を考慮した検討は行なっていない。本研究の目的はKOAにおけるLEFSのMCIDを調査し、運動療法実施後3ヵ月の指標を明らかにすることである。
【方法】対象は2022年6月から2023年2月までに当グループ外来3施設を受診し、KOAと診断され運動療法を実施し、3ヵ月まで経過を追うことのできた127例とした。除外対象は他関節疾患合併例、データ不備例とした。調査項目は基本情報として性別、年齢、Body Mass Index(BMI)および患者立脚型質問票であるLEFSとした。MCIDは分布に基づく方法を適用し、運動療法実施前と実施後3ヵ月との差の標準偏差(SD)に0.5を乗じて算出した。また、効果量(ES)は運動療法実施前と実施後3ヵ月との差をSDで除し算出した。
【結果】KOA患者の基本情報は性別(男性36例、女性91例)、平均年齢67(38-89)歳、BMI21.1(2.3)kg/m
2であった。運動療法実施後3ヵ月におけるLEFSのMCIDは5.2点であった。達成者の割合は43%であり、効果量は0.44であった。
【考察】我々はLEFSが3ヵ月間で有意に改善することを明らかにしているが、運動療法実施後3ヵ月でMCIDである5.2点以上の改善を示したのは43%だけであることが示唆された。本研究で示したMCIDの効果量は0.44と小であり、この値を指標とすることには慎重になる必要があると考える。
【結論】KOA患者のLEFSにおいて運動療法実施後3ヵ月のMCIDは5.2点と算出されたが、効果量は小であり、この値を指標とすることには慎重になる必要がある。
I don't have COI relationships whitch should be disclosed.