戻る 第36回臨床整形外科学会

抄録

Session

一般演題16    
骨・軟部腫瘍
July 17 th 09:10 - 09:35

Title

Author

写真提供なし
古矢 丈雄 (千葉大学 整形外科)
志賀 康浩 (千葉大学 整形外科)
土屋 流人 (千葉大学 整形外科)
三浦 正敬 (千葉大学 整形外科)
俊 徳保 (千葉大学 整形外科)
渡慶次 壮一郎 (千葉大学 整形外科)
大鳥 精司 (千葉大学 整形外科)

Abstract

【はじめに】近年のがん患者数の増加により、骨軟部腫瘍専門医だけでなく一般整形外科医もがん患者の骨転移診療に携わる機会が増加している。当科で2016年より開始した骨転移専門外来の診療データをもとに骨転移診療の実際を検証した。
【方法・結果】2016年4月から2021年3月までの5年間の骨転移専門外来初診患者数は519例 (男性275例、女性244例、受診時平均年齢66歳)であった。診断に関する診療依頼314例において、診察・血液生化学検査および画像検査で骨転移が否定できないものや、病理組織型・遺伝子型の情報提供を希望される相談に対し65例 (20%)で骨生検を施行した。治療に関連する相談205例のうち整形外科手術に至ったものは33例であった。当院の骨転移専門外来は脊椎外科医で構成されているが、腫瘍専門医常勤施設へのコンサルトは5例 (0.96%)であった。四肢長管骨および股関節周辺病変に対する治療サポートを関節班より得ることで、ほとんどすべての相談症例の診断・治療に対処可能であった。四肢長管骨における周囲組織を含めた全摘出の依頼や腫瘍用人工関節での再建を検討すべき症例は僅かであった。
【考察】当院の骨転移チームは脊椎外科医で構成されるため、骨生検(脊椎および骨盤)や脊椎転移の手術治療に問題は無かった。骨盤転移、特に臼蓋への転移は関節班に方針を確認しながら治療を行った。また、骨転移ボードを利用し主科・リハビリ科・放射線科・麻酔疼痛緩和科と連携を取ることで、適切な安静度や荷重制限の設定や意見共有が可能となった。
【結語】骨軟部腫瘍専門医不在施設においても脊椎班と関節班がそれぞれの得意分野を分担することで大多数の骨転移症例の診断・治療依頼に対応することが可能であった。専門外来としては軌道に乗ってきたので、今後は院内他科回しだけでなく、他の病院や診療所からの依頼にも積極的に対応していきたい。
I don't have COI relationships whitch should be disclosed.