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齊藤 昌愛 (北水会記念病院 整形外科)
黒坂 健二 (北水会記念病院 整形外科)
小川 博之 (北水会記念病院 整形外科)
塚田 幸行 (北水会記念病院 整形外科)
西野 正洋 (北水会記念病院 整形外科)
青山 広道 (北水会記念病院 整形外科)
平澤 直之 (北水会記念病院 整形外科)
【はじめに】股関節に発生する滑膜性骨軟骨腫症(SOC)は比較的稀な疾患で、早期の外科的治療が推奨されている。今回、スポーツ選手のSOCに対する関節鏡視下手術を行った2例を経験したため報告する。
【症例1】プロダンサー、43歳男性。左鼡径部痛を主訴に当科受診、可動域制限と前方インピンジメントテスト陽性、日本整形外科学会股関節機能判定基準(JOAスコア)は54点であった。単純X線にて大腿骨頚部前方に硬化縁を伴った骨透亮像を認め、MRIにて多数の粒状陰影を認めた。SOCの診断で股関節鏡視下手術を施行した。関節内に多数の表面平滑な骨軟骨腫とその周囲に滑膜増生を認めた。関節鏡下に病巣を可及的に切除し、Cam変形部に滑膜増生を認めたため骨軟骨形成術を追加した。病理学的にSOCと確定診断した。術後5か月半でダンスに復帰し、術後1年のJOAスコアは100点、術後2年で再発および関節症の進行は認めていない。
【症例2】大学ラグビー選手、22歳男性。右鼡径部痛を主訴に当科受診、可動域制限と前方インピンジメントテスト陽性、JOAスコアは51点であった。単純X線およびCTにて右股関節に多数の粒状の石灰化像を認め、MRIにて関節液貯留と多数の石灰化/骨化を伴う腫瘤陰影を認めた。SOCの診断で股関節鏡視下手術を施行した。大腿骨頸部周辺に多数の腫瘤を認め、ポータルの増設し摘出した。病理学的にSOCと確定診断した。術後5か月半でラグビーに復帰し、術後1年のJOAスコアは100点で、術後2年で再発および関節症の進行は認めていない。
【考察】股関節鏡手術では筋腱に大きな侵襲を加えることなくポータルを工夫することで比較的良好な視野を確保できるため本疾患を有するスポーツ選手には適していると考えられる。しかしながらスポーツ選手におけるSOCの報告例は未だ少なく再発を含めた臨床成績について今後慎重な経過観察が必要である。
I don't have COI relationships whitch should be disclosed.