写真提供なし
平澤 直之 (北水会記念病院 整形外科)
仲山 勉 (北水会記念病院 リハビリテーション科)
宮坂 拡汰 (北水会記念病院 リハビリテーション科)
【目的】人工股関節全置換(以下THA)術後高いレベルでスポーツ活動を6年以上行っている4例の経過を報告する。【症例】症例1、53歳男性。術後8年。職業はJRA調教助手。左THAを行って以後現在も騎手同様常時競走馬の調教をつけている。症例2、67歳女性。術後8年。登山家であり、左THAを行った後、登山を継続し、12度にわたり3000m以上の登頂に成功している。症例3、48歳女性。術後6年。テニスプレーヤー。右THAを行った後ダブルスで4つの地方大会での優勝を重ねている。症例4、43歳男性。術後6年。マラソン選手であり、術後合計6回のフルマラソンを含む多数回の大会に出場。うち2回でフルマラソンサブ3を達成し、地方大会で4位入賞を果たしている。4症例とも使用されたインプラントは、カップはStryker社製Trident HA。ライナーは同社X3、ステムは同社Cent-Pillarであった。【結果】摩耗解析ソフトPolyWearで計測したところ、術後1年を除いた定常摩耗率は0.03mm/yr, 0.035mm/yr, 0.05mm/yr, 0.04mm/yrと低値であり摩耗は少ないと考えられた。現在までに、インプラントの破損、脱臼などのトラブルは生じていない。また骨溶解などのTrunnionのトラブルを想起させる合併症も現在のところ認めていない。【考察】Krismerによると、近年THAの成績向上に伴い、従来は禁止されてきたようなスポーツ活動も、徐々に許容されるようになってきている。OllivierらはHigh-impactのアスリートではポリエチレンの摩耗量が増すと報告しているが、従来のポリエチレンが使用されているものであり、今回我々はクロスリンクされたポリエチレンで計測したところ合併症はなく摩耗量も少ないことが伺われた。今後症例を重ねて報告する。
I don't have COI relationships whitch should be disclosed.