写真提供なし
渋谷 悠太 (船橋整形外科クリニック 理学診療部)
平尾 利行 (船橋整形外科クリニック 理学診療部)
宮内 秀徳 (船橋整形外科クリニック 理学診療部)
老沼 和弘 (船橋整形外科病院 診療部)
東 秀隆 (船橋整形外科病院 診療部)
三浦 陽子 (船橋整形外科病院 診療部)
二宮 太志 (船橋整形外科病院 診療部)
濱田 博成 (船橋整形外科病院 診療部)
白土 英明 (船橋整形外科病院 診療部)
【目的】我々は変形性股関節症(Hip osteoarthritis:HOA)患者を対象に運動療法を実施し経過を観察したところ、日本語版Lower Extremity Functional Scale(LEFS)が3ヵ月間で有意に改善することを明らかにした。しかし、臨床的最小重要変化量(Minimal Clinically Important Difference:MCID)を考慮した検討は行なっていない。本研究の目的はHOA患者におけるLEFSのMCIDを調査し、運動療法実施後3ヵ月の指標を明らかにすることとした。【方法】対象は2022年4月から2023年1月までに当グループ外来3施設を受診し、HOAと診断され運動療法を実施し、3ヵ月まで経過を追うことのできた69例とした。除外対象は他関節疾患合併例、データ不備例とした。調査項目は基本情報として性別、年齢、Body Mass Index(BMI)および患者立脚型質問票であるLEFSとした。MCIDは分布に基づく方法を適用し、運動療法実施前と実施後3ヵ月との差の標準偏差(SD)に0.5を乗じて算出した。また、効果量は運動療法実施前と実施後3ヵ月との差をSDで除し算出した。【結果】HOA患者の基本情報は性別(男性7例、女性62例)、平均年齢62(36-79)歳、BMI22.7(3.1)kg/m
2であった。運動療法実施後3ヵ月におけるLEFSのMCIDは4.4点であった。達成者の割合は48%であり、効果量は0.59であった。【考察】HOA患者に対し運動療法を3ヵ月間実施した際のLEFSのMCIDは4.4点であった。効果量は0.59と中を示したことから、LEFSのMCIDの一指標を提示することができたと考える。我々はLEFSが3ヵ月間で有意に改善することを明らかにしているが、MCIDを達成したのは48%であった。実数値のみにとらわれずMCIDを考慮した変化を示すことも重要であると考える。【結論】HOA患者のLEFSにおいて運動療法実施後3ヵ月のMCIDは4.4点であることが明らかとなった。
I don't have COI relationships whitch should be disclosed.