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高野 祥久 (船橋整形外科クリニック 理学診療部)
平尾 利行 (船橋整形外科クリニック 理学診療部)
梅原 弘基 (船橋整形外科市川クリニック 理学診療部)
老沼 和弘 (船橋整形外科病院 人工関節センター)
東 秀隆 (船橋整形外科病院 人工関節センター)
三浦 陽子 (船橋整形外科病院 人工関節センター)
二宮 大志 (船橋整形外科病院 人工関節センター)
濱田 博成 (船橋整形外科病院 人工関節センター)
白土 英明 (船橋整形外科病院 人工関節センター)
【目的】変形性股関節症(HOA)は日本理学療法士協会が作成した股関節機能障害理学療法ガイドラインにおいて、運動療法と患者教育が有効であることが示されている。しかし、運動療法と患者教育の成績を経時的に追った報告は少ない。本研究の目的は、HOAに対して運動療法を実施した際の疼痛と日常生活動作(ADL)の経時的変化を検討することである。【対象と方法】対象は2022年6月から2023年2月までに当グループ外来3施設においてHOAと診断され、運動療法を3ヵ月間実施した60例(女性60例、平均年齢61歳)とした。主要評価項目は、歩行時痛Visual Analog Scale(VAS;mm)およびADLの評価として日本語版Lower Extremity Functional Scale(LEFS;点)とした。また、副次的評価項目としてPain Self Efficacy Questionnaire(PSEQ;点)を用いて疼痛に対する自己効力感を調査した。統計解析は初回・1ヵ月・2ヵ月・3ヵ月時のVAS、LEFSおよびPSEQについて、線形混合モデルによる一元配置分散分析を用いて検討した。下位検定としてTurkeyの多重比較を実施した(p<0.05)。【結果】各時期の評価結果は(初回/1ヵ月 /2ヵ月/3ヵ月)、VAS(40/33/26/27)、LEFS(57/59/61/62)、PSEQ(38/42/43/44)であり、VASとLEFSは初回と比較して、2ヵ月、3ヶ月で有意に良好な値を示した。PSEQでは、初回と比較して1ヵ月、2ヶ月、3ヶ月で有意に高得点を示した。その他の時期間では有意差を認めなかった。【考察】HOAに対して運動療法を3ヵ月実施した結果、PSEQが先行して1ヵ月から改善を認め、疼痛およびADLは2ヵ月から改善を認めた。運動療法を実施することで疼痛に対する自己効力感が改善し、疼痛やADL改善につながる可能性が示唆された。今後は3ヵ月以降の経時的変化について検討する必要があると考える。【結論】HOAに対する運動療法によって疼痛およびADLは良好な経時的変化を認めた。
I don't have COI relationships whitch should be disclosed.