写真提供なし
木下 知明 (習志野第一病院 整形外科)
眞木 成美 (習志野第一病院 整形外科)
西川 悟 (西川整形外科)
西尾 豊 (習志野第一病院 整形外科)
鎌田 尊人 (習志野第一病院 整形外科)
中村 伸一郎 (習志野第一病院 整形外科)
【目的】石灰沈着性頸長筋腱炎の臨床像を明らかにすること。【方法】対象は、2012年12月から2022年8月まで、石灰沈着性頚筋腱炎と診断した6例(男性2例, 女性4名)。平均年齢:53.2歳 (37-80歳)。a)症状, b)体温, c)喉頭ファイバー所見, d)血液検査所見, e)画像所見(レントゲン像, CT, MRI), f)症状消退までの期間について調査。さらに、咽後軟部組織の厚み(腫脹)の程度をレントゲン像から計測(C1レベル)。これと、同一患者群の治療後の厚み、さらに対照群として頚椎変性疾患89例の厚みと、統計学的に比較した(t検定)。【結果】a)全例に、頚部痛, 嚥下痛, 頚部可動域制限。b)37度未満4例, 37度以上2例。喉頭ファイバー所見:全例、咽頭発赤なし。1例に咽頭後壁の膨隆。d)CRP (mg/dl)が0.3以下1例, 0.3超1以下2例, 1超3例。白血球 (個/μl)が8400以下3例, 8400超10000以下2例, 10000超1例。e)頚椎レントゲン像:3例にC1前結節尾側にかすかな石灰化病変。CT:全例でC1前結節尾側に明瞭な石灰化病変。MRI:全例でC1から食道入口部付近まで咽頭後軟部組織の炎症, 腫脹。f)NSAIDの投与で平均11日(5-14日)。咽後軟部組織の厚み (mm):治療前平均 8.0 (3.2-11), 治療後平均2.8 (1.8-3.6)。対照群における厚み:平均3.6 (1.4-7.9)。治療前の咽後軟部組織の厚みは、治療後の厚み、対照群の厚みより有意に大きかった(p<0.5)。【考察】石灰沈着性頸長筋腱炎は、周知されているとは言えず、見逃されている可能性がある。また、咽後膿瘍が疑われ、過剰な治療が行われている可能性もある。その初期診断において、まずはレントゲン像にて咽後軟部組織の腫脹を認識し、さらにCTにて石灰化病変を証明することが大切である。
I don't have COI relationships whitch should be disclosed.